全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は現地時間6月16日、同日開幕したパリ航空ショーで、リージョナルジェット機エンブラエルE190-E2を正式発注したと発表した。今年2月25日にANAHDが導入を発表したもので、最大20機を2028年度から受領する。E2シリーズを国内の航空会社が発注するのは初めてで、ANAがエンブラエル機を発注したのも初となった。16日は今年2月発表の機材発注について、ボーイングとエアバスとも正式契約を結んだ。
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*エアバスとの調印式はこちら。

パリ航空ショーでE190-E2の契約書をエンブラエルのフランシスコ・ゴメス・ネトCEO(左)と交わしたANAホールディングスの芝田浩二社長=25年6月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
契約の内訳は確定発注が15機、オプションが5機で、座席数は未定。100席クラスの最新鋭リージョナルジェットで、国内線の需給調整を目的に、2028年度から2032年度にかけて受領する。
座席数は、国内では日本航空(JAL/JL、9201)傘下のジェイエア(JAR/XM)が運航するE190の座席数が2クラス95席(クラスJ 15席、普通席80席)となっており、今後モノクラスと複数クラスを比較し、採算性が見込めるレイアウトを採用する。
運航する航空会社は現時点で未定。ANAグループでは、リージョナル機の運航をANAウイングス(AKX/EH)が担っている。一方、国内線の幹線から地方路線まで幅広くカバーしている小型機ボーイング737-800型機(2クラス166席)の運航は、2024年10月1日からANAウイングスに一元化した。
背景には、E190-E2がANA初のエンブラエル機で、パイロットの移行訓練に一定期間が必要であることや、航続距離が最大5278キロと、ANAの国内線機材である737-800の3900キロよりも長く、同じく国内線に投入しているエアバスA321neoの5130キロとほぼ同じなどの要因がある。
現時点で投入路線は決まっていないが、航続距離が前世代機E190の4537キロより長いことから、これまで空白だった100席クラスの機材として導入するとともに、従来とは異なる路線の可能性も検討していく。
20機分のE190-E2のカタログ価格は、発表時の円換算で約2490億円となる。

パリ航空ショーでE190-E2の契約書をエンブラエルのフランシスコ・ゴメス・ネトCEO(左)と交わすANAホールディングスの芝田浩二社長=25年6月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パリ航空ショーでE190-E2の発注契約後にエンブラエルのフランシスコ・ゴメス・ネトCEO(左)と談笑するANAホールディングスの芝田浩二社長=25年6月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パリ航空ショーでE190-E2をエンブラエルに正式発注したANAホールディングスの芝田浩二社長ら=25年6月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
パリ航空ショーでボーイングやエアバスとも正式契約
・ANA、787と737MAXパリ航空ショーで正式発注 過去最大発注の一環、28年度以降受領(25年6月16日)
・ANA、A321neoとピーチ向けA321XLRパリ航空ショーで正式発注 30年度から受領(25年6月17日)
運航会社
・ANA井上社長、E190-E2運航会社「適切なタイミングで」判断(25年6月8日)
エンブラエル マイヤーCEOインタビュー
・エンブラエル民間機CEO、ANAのE190-E2導入「大きな意味」トランプ関税は「米国に跳ね返る(25年4月22日)
エンブラエルの受け止め
・E190-E2はなぜ日本に適しているのか エンブラエル、ANA導入に手応え(25年5月9日)
ANAがE190-E2発注
・ANA、過去最多77機発注 E190-E2国内初導入、超長距離A321XLRをピーチに(25年2月25日)
・エンブラエル、ANAから初受注 E190-E2を最大20機(25年2月25日)
解説記事
・ANAはなぜエンブラエルを選んだのか 完結編・どうなるスペースジェット跡目争い(25年2月26日)
E190-E2機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・E190-E2 Media flight at Funborough Air Show 2018
E190-E2搭乗記
・エンブラエル、E190-E2初のメディアフライト MRJ最大のライバル、ファンボロー開幕前に(18年7月16日)
E2の動き
・エンブラエル、E190-E2に高速Wi-Fi インテルサットと契約(25年4月10日)
スペースジェット開発中止
・【独自】スペースジェット、開発中止決定 次期戦闘機に知見生かす(23年2月6日)
・三菱重工、泉澤社長がスペースジェット開発中止説明へ 2/7決算会見に出席(23年2月7日)