JAL A350-1000、ロゴ入り2機並ぶ 特集・777-300ERから進む世代交代

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 日本航空(JAL/JL、9201)が今年1月に就航させた次世代長距離国際線機材エアバスA350-1000型機が、8月中にも5機がそろう。置き換え対象のボーイング777-300ER型機と同数の13機を発注済みで、現在は3機が就航済み。年度内に発注分の6割にあたる8機がそろう見通しで、初号機(登録記号JA01WJ)と2号機(JA02WJ)には機体後部に「A350-1000」と大きな赤いロゴが入り、新たなフラッグシップであることをアピールしている。

羽田空港で出発を待つJALのA350-1000ダラス線投入初便のJL12便(手前、初号機JA01WJ)と赤いロゴのデカールを貼ったばかりの2号機JA02WJによるニューヨーク行きJL6便=24年4月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
7m長い胴体
A350-1000は6輪に
777-300ERは国内線も

7m長い胴体

 JALは777の後継機として、11年前の2013年10月7日にA350を発注したと発表。これまで日本の航空会社が大型機を選定するとなれば、ボーイングなど米国製と相場が決まっていたことから、欧州のエアバス機導入は日本の航空業界に大きな衝撃を与えた。標準型のA350-900を18機、長胴型のA350-1000を13機の計31機を確定発注し、オプション(仮発注)で25機購入する契約を締結した。国内線機材のA350-900は2019年9月1日に就航しており、16号機(JA16XJ)まで受領している。

トゥールーズから羽田空港へ到着したJAL A350-1000 2号機=24年1月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港を走行するJALのA350-900 4号機=24年1月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今年3月21日には、エアバスとボーイングから計42機の旅客機を導入すると発表(関連記事)。このうち、A350-900は21機の追加発注となり、国際線機材として20機を2027年度から、残り1機を1月の羽田事故で全損となった13号機(A350-900、JA13XJ)の代替機として2025年度下期に受領する。

 全長が約7メートル長いA350-1000は、システムの95%がA350-900と共通で、タイプレーティング(機種別操縦資格)も共通。航空会社が需要や路線のニーズに合わせて2機種を使い分けやすい。

 羽田-ニューヨーク線に今年1月24日から投入しているA350-1000の座席数は4クラス239席。ファーストクラスとビジネスクラスはJAL初の個室タイプのシートを採用し、ファーストが6席(1列1-1-1席)、ビジネスが54席(同1-2-1席)、プレミアムエコノミーが24席(同2-4-2席)、エコノミーが155席(同3-3-3席)で、「X35」と呼ばれる座席配置になっている。

JAL A350-1000の個室ファーストクラス=24年1月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JAL A350-1000の個室ビジネスクラス=24年1月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

A350-1000は6輪に

 受領済み3機のA350-1000のうち、ロゴのない3号機(JA03WJ)はすらっとした外観からA350-900と見分けにくく、長さ以外で比較的見分けがつく部位としては、メインランディングギア(主脚)が1脚あたり4輪がA350-900、A350-1000は777と同じ6輪に増えたくらいだ。また、国内線で短時間に折り返し運航するA350-900は、主脚にブレーキを冷却するクーリングファンが付けられているが、A350-1000は装備していない。

トゥールーズを出発するJALのA350-1000初号機。この時点ではロゴは入っていなかった=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 A350-1000の赤い大きなロゴは、受領当初はなかったものだ。初号機が仏トゥールーズを現地時間2023年12月14日に出発した際は、機体後部には何も描かれていない真っ白な塗装だったが、羽田へ到着後に実施している就航前の整備作業で貼り付けられ、同月26日に初めて格納庫を出た。

 赤いロゴは2号機にも描かれ、4月17日に2路線目の羽田-ダラス・フォートワース線に就航した際には、ロゴ入りの初号機と2号機が初めて羽田のスポットに並んだ。2号機は1月10日に引き渡されて羽田には14日に到着。これまでロゴなしの姿だったが、2機並びが実現した4月17日からロゴ入りで運航している。国内線を飛ぶA350-900は3号機までがロゴ入りの特別塗装機だったことから、A350-1000も3号機まではロゴ入りになる可能性がありそうだが、現時点では未定だという。

A350-1000の主脚。奥の777-300ERと同じく6輪=24年4月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

A350-900の主脚は4輪=19年6月 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

777-300ERは国内線も

 一方、A350-1000就航で余剰が生じる777-300ER(4クラス244席)は、2023年10月30日から羽田-福岡線の一部便に投入。現在は福岡のほか、札幌(新千歳)、伊丹、那覇の計4路線に投入されており、国内線ではファーストを国内線ファーストクラス、ビジネスをクラスJ、プレエコとエコノミーを普通席として販売している。

羽田空港に2機ずつ並ぶJALのA350-1000と777-300ER=24年4月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 777のうち、2023年11月12日に退役した元中距離国際線機材の777-200ERは、2021年に国際線の運航から離脱し、11機のうち5機を国内線に転用。クラスJのシートは国際線時代にビジネスクラスだった「スカイスイートIII」をそのまま使用し、国内線でフルフラットシートを体験できることから、人気の機材となった。

 777-300ERもシートは国際線仕様のまま国内線に投入しており、国内線ファーストクラスとクラスJではフルフラットシートを利用できる点が人気を集めそうだ。

JALの777-300ER ファーストクラス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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JAL国際線 AIRBUS A350-1000
日本航空

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