エアライン, ボーイング, 機体 — 2019年10月9日 13:32 JST

777X、20年初の初飛行「エンジン開発が決め手」 NMAは220-270席級に

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 来日したボーイング民間航空機部門マーケティング副社長のランディ・ティンゼス氏は10月9日、開発中の大型機777Xの初飛行について、エンジン開発が順調に進めば計画通り2020年初頭に実現できるとの見通しを語った。また、737 MAXと787の間に位置する中型機「NMA(New Middlesize Airplane)」については、2020年内にローンチする可能性を示唆しつつも、「最重要課題は737 MAXの運航再開だ」と述べ、10-12月期の再開に向けて全社で取り組んでいる姿勢を改めて示した。

—記事の概要—
777X:20年初に初飛行、初納入は20年内
NMA:220-270席クラス

777X:20年初に初飛行、20年内納入

 777Xは現行機777の後継機で、メーカー標準座席数が2クラス384席の777-8と、426席の777-9の2機種で構成。航続距離は777-8が8730海里(1万6170キロ)、777-9は7285海里(1万3500キロ)を計画している。日本の製造分担割合は、現行の777と同じ主要構造部位の約21%となる。

ボーイングがパリ航空ショーに出展した777Xの模型と客室モックアップ=19年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 最初の機体となる777-9の飛行試験機は、今年3月にロールアウトしたが、GEアビエーションの新型エンジン「GE9X」は開発に遅れが出ている、9月には、ボーイングが実施した荷重試験中に静強度試験機の貨物ドアが地上で吹き飛び、2020年内の初号機納入を疑問視する声が出ている。

 ティンゼス氏は、開発の進捗について「エンジン開発が決め手になる。おそらく来年の早い時期に初飛行できるだろう。就航は来年後半になるが、エンジン開発のペースで決まる」と述べ、今後のスケジュールはエンジン開発の進み方次第だとの見方を示した。

 また、総2階建ての超大型機エアバスA380型機が2021年で生産終了となることから、「777-9はライバルが不在だ」と述べた。ジャンボの愛称で親しまれる747の最新型となる747-8は、旅客型の需要は今後見込めず、貨物型の747-8Fのみになっていくという。

NMA:220-270席クラス

 “797”とメディアが呼ぶNMAの進捗についても、従来公表しているスケジュールを堅持。ローンチ(開発着手)は2020年内、就航は2025年前後になる見通しだ。ボーイングのケビン・マカリスター民間航空機部門社長兼CEO(最高経営責任者)は6月に開かれたパリ航空ショーで、「双通路(ワイドボディー)機の快適性と、単通路(ナローボディー)機の経済性を併せ持つだろう」と、双通路機を念頭に置いたNMAのイメージを示している。

NMAが狙う市場で販売が好調なA321neo=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ティンゼス氏は、「NMAは2機種で構成し、座席数は220席から270席を想定している。市場規模は4000機ないし5000機とみており、われわれのビジネスプランを微調整しながら進めている」と語った。

 「しかし、一番重要視しているのは737 MAXの運航再開だ。その次がNMAで、うまくいくビジネスケースを担保する必要があり、まだ作業が残っている」と、現時点では10-12月期中に737 MAXの運航再開にこぎつけることがボーイングにとって最重要課題であり、FAA(米国連邦航空局)など当局の判断にはなるものの、これに注力する姿勢を示した。

 NMAがターゲットとするマーケットでは、ライバルのエアバスが757の置き換え需要をA321neoや航続距離延長型のA321LRで獲得しつつある。さらに、パリ航空ショーでローンチした超長距離型A321XLRも出足が好調だ。

 ティンゼス氏は「マーケットで提供する機体価格を、正当化できるコストで製造する自信はある」として、エアバスとの顧客争奪戦に自信を示した。

関連リンク
Boeing
ボーイング・ジャパン

777X
777X貨物ドア破損、後部胴体減圧で発生 20年初飛行・納入堅持(19年9月11日)
777Xの試験中断、納期見直し言及せず 荷重試験で試験機の貨物ドア吹き飛ぶ(19年9月10日)
777X、初飛行は20年初頭に エンジン問題でずれ込み(19年7月25日)
777X、ボーイングが従業員向けお披露目(19年3月15日)
A380、2021年に生産終了へ エミレーツ航空、39機キャンセル(19年2月14日)
777X、窓16%大きく ボーイングが客室イメージ公開(19年1月29日)

NMAと737 MAX
737 MAXの運航再開、10-12月期目指す マレンバーグCEOが改めて示唆(19年9月12日)
パリ航空ショーで安全重視強調、777XやNMAどう乗り切るか 特集・難題と向き合うボーイング(19年6月24日)
エアバス、超長距離型「A321XLR」ローンチ 単通路で世界最長、23年納入へ(19年6月17日)
“797”就航時期、2025年で変わらず マレンバーグ会長(18年7月16日)
ボーイング幹部、”797″の市場規模4000機 「アジアが潜在需要No.1」(17年10月12日)