エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2019年1月29日 23:25 JST

777X、窓16%大きく ボーイングが客室イメージ公開

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 ボーイングは1月29日、次世代大型機777Xの客室について、都内で開発状況を報道関係者に説明した。現行の777よりも窓が16%大きくなるほか、航空会社が客室仕様を各クラスごとに細かく指定しやすくし、自社の特色を打ち出しやすくする。

*初飛行を1月24日に延期。記事はこちら

窓が777より16%大きい777Xの客室イメージ(ボーイング提供)

—記事の概要—
電子カーテンはオプション
静粛性のアプローチ「競合と異なる」
ANAが777-9導入

電子カーテンはオプション

 来日したボーイング民間航空機部門キャビン・エクスペリエンス&レベニュー・アナリシス担当のケント・クレーバー氏によると、777Xの胴体外径は777と同サイズになるものの、客室幅は構造変更により4インチ(10.16センチ)広くなるという。また、飛行中の揺れを軽減する「スムーザー」を採用する。

中央にオーバーヘッドビンがない777Xの客室イメージ(ボーイング提供)

 座席数が少ないファーストクラスやビジネスクラスのエリアでは、中央のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)をなくすことで空間を広くできる。大型のオーバーヘッドビンも選択でき、クラスごとに異なる仕様を選びやすくした。

 窓が大きくなる一方、787で採用した電子カーテンは、次世代のものをオプションとして用意するものの、標準装備は777と同じ通常の手動式の日よけとなった。

静粛性のアプローチ「競合と異なる」

 機内の湿度も、777よりも過ごしやすい値になるという。クレーバー氏は「787とまったく同じ値かは数字を持ち合わせていないが、777と比べて改善する。しかし、重要なのは湿度そのものの数値ではなく、新たに採用するガス状の汚染物質を取り除くフィルターを組み合わせて、どういう効果があるかだ」と応じた。

製造が進む777-9の飛行試験初号機=PHOTO: Tim Stake/Boeing

777Xの客室について都内で説明するボーイングのクレーバー氏=19年1月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「機内が乾燥していると、目がドライアイになったり、のどや鼻に痛みを感じたりするが、空気の乾燥だけではなく、揮発性有機化合物(VOC)がガス状に混ざっているからだ」と説明。粒子状の物質以外に、ガス状の汚染物質も取り除くフィルターの有用性に触れた。

 一方、競合のエアバスは最新鋭機A350 XWBで、客室の静粛性を売りにしている。777Xの静粛性について、クレーバー氏は、「客室内のノイズに対するボーイングのアプローチは競合と異なり、(音の大きさを示す)デシベルという尺度で軽減するだけではなく、ノイズの音質に注目している」と違いを強調した。

 「777Xはエンジンや主翼などの設計改善により、777よりもデシベル数は低くなっているが、あまりにも機内が静かだとドアやオーバーヘッドビンの開け閉めや、ほかの乗客の会話が気になる」として、一定レベルのノイズがあるほうが、乗客が快適に過ごせると語った。

 また、エアバスは貨物室の一部をラウンジなど乗客向け施設として活用するオプションを、航空会社に提案している(関連記事)。クレーバー氏は、777Xで同様の取り組みが生じるかについて、「貨物室を旅客用スペースとして使う案は何十年も前から検討されてきたが、貨物を載せれば収益をもたらす。航空会社が貨物室をどう使いたいかがカギだ。もし航空会社から貨物室をほかの用途で使いたいという要望があれば、ボーイングは新たな活用方法を検討する」と述べた。

ANAが777-9導入

ANAホールディングスが発注した777Xのイメージイラスト(同社提供)

 777Xはメーカー標準座席数が3クラス350-375席の777-8と、400-425席の777-9の2機種で構成。航続距離は777-8が8700海里(1万6110キロ)、777-9は7600海里(1万4075キロ)を計画している。日本の製造分担割合は、777と同じ主要構造部位の約21%となる。

 エンジンは、米GE製GE9Xを2基搭載。翼は炭素繊維複合材を用いて軽量化するとともに、777の主翼よりも長くなることから、翼端を折りたためるようにして、777が現在乗り入れている空港に就航できるようにする。

 日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が、777-9を長距離国際線に投入している777-300ERの後継機として、2014年7月31日に20機確定発注。2021年度から受領する見通し。

777Xの客室イメージ(ボーイング提供)

中央にオーバーヘッドビンがない777Xの客室イメージ(ボーイング提供)

中央にオーバーヘッドビンがある777Xの客室イメージ(ボーイング提供)

キャリーバッグを収納できる777Xのオーバーヘッドビンのイメージ(ボーイング提供)

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Boeing
ボーイング・ジャパン

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