エアライン, ボーイング, 機体 — 2021年4月10日 12:20 JST

737MAX、電気系統問題で運航停止 ボーイングが勧告

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 ボーイングは現地時間4月9日、2度の墜落事故が起きた小型機737 MAXについて、運航する16社に一時的に運航を停止するよう勧告した。電気系統の問題が製造時に起きた可能性があるという。FAA(米国連邦航空局)も利用者に対し、この問題で搭乗便の遅延や運休が生じる可能性について航空会社に確認するよう求めている。現時点で、日本の航空会社には引き渡されていない。

電気系統の問題で運航停止となった737 MAX=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回の問題は電気系統に関するもので、特定の製造時期のものだという。墜落原因となった失速防止システム「MCAS: Maneuvering Characteristics Augmentation System(操縦特性向上システム)」とは無関係とみられる。

 2度の墜落事故を起こした737 MAXは、直後から各国の航空当局が飛行停止措置を講じ、FAAも2019年3月13日に飛行停止を命令。その後、システムの改修やパイロットの訓練環境が整ったとして、2020年11月18日に運航再開を認めた。これにより、FAAの監督下にある航空会社は737 MAXによる商業運航の再開に向け動き出したほか、ボーイングは顧客への引き渡しを再開できるようになった。

 航空会社も12月から737 MAXの運航再開や追加発注を進めており、欧州諸国が加盟するEASA(欧州航空安全局)と英国のCAA(民間航空局)も今年1月27日に運航再開を認めているが、再び運航停止となる事態に陥った。

 737 MAXは737の発展型で、CFMインターナショナルの新型エンジン「LEAP-1B」を採用。翼端には新型ウイングレット「アドバンスト・テクノロジー・ウイングレット」を備え、客室内装はLED照明や大型の手荷物収納棚など、787と同等のものを取り入れた「ボーイング・スカイ・インテリア」を採用している。

 標準型は737-800の後継となる2016年1月に初飛行した737 MAX 8(1クラス189席)で、もっとも胴体が短い機体で737-700の後継機737 MAX 7(同172席)、従来型では胴体がもっとも長かった737-900ERの後継機737 MAX 9(同220席)があり、2019年11月には胴体長が最長となる737 MAX 10(同230席)がロールアウトした。737 MAX 10は納入開始が3年延期され、2023年から引き渡される見通し。

 ボーイングの受注歴によると、2月末時点で737 MAXは5409機受注し、453機が引き渡された。

 日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が最大30機の発注を計画しているが、正式発注には至っていない。20機を確定発注、10機をオプションとするもので、国内線で運航する737-700と-800の後継機として2021年度から2025年度にかけて受領する計画だった。発注に至った場合、現時点では日系航空会社初の契約となる。

関連リンク
Boeing
ボーイング・ジャパン

各国の再開承認
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墜落事故
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