エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2019年11月19日 21:01 JST

JAL、羽田発着枠増枠でホノルル2便 20年3月国際線強化、全国からハワイへ

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 日本航空(JAL/JL、9201)は11月19日、羽田空港の発着枠増枠分を活用した国際線の路線計画を発表した。2020年3月29日開始の夏ダイヤで増枠されるもので、新設と増便11路線12便(往復)のうちシカゴ線やホノルル線など8路線9便を成田から移管。ロサンゼルス線と大連線を新設し、上海(浦東)線を増便する。このうち、ホノルル線は1日2往復を羽田へ移し、国内線との接続により、全国から羽田経由でハワイへ送客していく。

 また、傘下のLCCとの連携も深める。2020年5月に就航を予定している100%出資の中長距離LCCのZIPAIR(ジップエア)や、出資比率を従来の33.3%から50.0%に引き上げて筆頭株主となったジェットスター・ジャパン(JJP/GK)のネットワークを活用し、JALの運航便と併せて成田発着の国際線や国内線を強化していく。

羽田増枠後の国際線計画を発表するJALの赤坂社長=19年11月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
羽田で内際接続、成田は北米アジア結ぶ
ホノルルは1日2往復
大連は単独路線
*ANAの国際線新路線はこちら

羽田で内際接続、成田は北米アジア結ぶ

 国土交通省航空局(JCAB)は、羽田国際線の昼間時間帯(午前6時から午後10時55分まで)で増枠する発着枠50枠(便)のうち、日本と相手国の航空会社に25枠ずつ配分。日本側の25枠のうち全日本空輸(ANA/NH)に13.5枠、JALへは11.5枠を割り当てた。

羽田空港の発着枠増枠で国際線を拡大するJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 11.5枠の内訳は、米国が6枠、中国が2枠、ロシアとフィンランド、豪州が1枠ずつで計11枠。残り0.5枠はインドで、昼間帯と深夜早朝帯(午後10時から翌日午前6時55分まで)で1枠ずつ配分のため、昼間帯は0.5枠になる。

 JALの羽田発着路線は現在15路線22便で、夏ダイヤ開始時点では24路線34便に拡大。シカゴ線とロサンゼルス線、ダラス線、ホノルル線、モスクワ(シェレメチェボ)線、ヘルシンキ線、シドニー線、デリー線、大連線の9路線10便を新設・再開し、ニューヨーク線と上海(浦東)線の2路線を増便する。ホノルル線は1日2往復のダブルデイリーとなる。

 19日に都内で会見を開いたJALの赤坂祐二社長は、「(発着枠は)希望通り配分いただいた。有効活用して利便性向上や訪日客増加、地域貢献につなげたい」と語った。羽田と成田の役割分担については、「羽田は国内線と国際線を結ぶ内際ハブ、成田は(国際線同士を結ぶ)際際ハブで、北米とアジアのど真ん中に位置する地政学的に重要な空港。ZIPAIRなど新しいものを作る空港として活用したい」と述べた。

 一方で、成田の国際線や国内線を、傘下のLCCに移管するとの見方は否定。「際際ハブとは言うものの、訪日客の地方誘致に国内線は必要。自社の国内線と合わせ、ジェットスター・ジャパンの機材やネットワークも活用させていただきたい」(赤坂社長)と語った。

 成田に残す便について、国際路線事業本部長の大貫哲也常務は、「東南アジアとの乗り継ぎを意識しており、夕方発着は成田に残る」と、北米とアジアの接続需要を重視する姿勢を示した(成田路線の詳細はこちら)。

ホノルルは1日2往復

 方面別で見ると、6枠獲得した米国路線は、成田から羽田への移管がニューヨーク線とシカゴ線、ダラス線、ホノルル線の4路線で、このうちニューヨーク線は移管により1日2往復に増便。羽田で純増となるロサンゼルス線は、1日2往復に増便する。運航はいずれも2020年3月29日から。

ホノルルで出発を待つANAのA380と後ろを走行するJALの787。JALは羽田発着のホノルル線を1日2往復設定する=19年5月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 成田-ホノルル線にANAが総2階建ての超大型機エアバスA380型機(4クラス520席)を投入し、ハワイ路線は競争が激化している。JALは現在1日4往復の成田-ホノルル線のうち、2往復を羽田へ移す。夏ダイヤでは、ホノルル線が羽田と成田それぞれ1日2往復ずつ、ハワイ島のコナ線が成田から1日1往復となる。

 大貫常務は、「ホノルル線は日本発需要が大半で、約80%を日本で販売している」と、もっとも多くの国内線が乗り入れる羽田へ移管することで、全国からハワイへ渡航する需要の取り込みを狙う。

 機材はニューヨーク線とシカゴ線、ロサンゼルス線がボーイング777-300ER型機で、座席数は4クラス244席となる。ダラス線とホノルル線は787-9で、座席数はダラス線が3クラス195席、ホノルル線は3クラス239席を計画している。

 羽田への移管が進む一方で、成田発着も強化する。成田-サンフランシスコ線を787-8(2クラス186席)で2020年3月29日から、成田-シカゴ線を787-9(3クラス195席)で2021年2月15日から再開。成田-グアム線も、7月1日から増便する。一方、成田-ロサンゼルス線は羽田発着便が1日2往復化することで、777-300ER(4クラス244席)から787-8(2クラス186席)に2020年3月29日から小型化する。

 また、JALと共同事業(JV)を展開するアメリカン航空(AAL/AA)も羽田路線を拡大。ダラス線を新設し、ロサンゼルス線を増便する。

大連は単独路線

 2枠獲得した中国路線は、新設の大連線と増便の上海線ともに、運航スケジュールや機材は決定次第発表となる。羽田発着の大連線は、JALの単独路線となる。

羽田-大連線はJALの単独路線に=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 上海線は増便により、夏ダイヤからは羽田発着が浦東空港へ1日2往復と虹橋空港へ1往復の計3往復、成田発着が浦東へ3往復となり、首都圏全体では1日6往復と現在より1往復増える。また、大連線は成田発着も維持する。

 モスクワ線とヘルシンキ線、シドニー線、デリー線は成田からの移管。機材はモスクワ線が787-8(3クラス161席)、ヘルシンキ線とシドニー線が787-9(3クラス195席)、デリー線は787-9(3クラス203席)を計画している。

 JVを組むフィンエアー(FIN/AY)も、ヘルシンキ-羽田線を開設。JALが羽田を午前発着、フィンエアーが午後到着の深夜出発と、両社で異なる時間帯に運航スケジュールを設定した。

 ロシア路線とインド路線については、成田発着も新路線を開設する。成田-ウラジオストク線を2020年2月28日から、ベンガルール(バンガロール)線を3月29日から運航を始める。

 今回発表した路線の航空券販売は、羽田-ホノルル線が11月20日午後2時から、シカゴ線とダラス線、ニューヨーク線、ロサンゼルス線、モスクワ線が26日午後2時から、ヘルシンキ線とシドニー線、デリー線が12月3日午後2時から。運航スケジュールが確定していない大連線と上海線は決定次第販売を始める。

 ANAも、19日に羽田の新路線を発表。羽田発着の国際線は現行の24路線から36路線に増え、成田発着は現行36路線から33路線に減少する。欧米路線については、羽田が現行10路線から19路線に拡大し、成田は12路線から9路線に縮小となる(関連記事)。

運航スケジュール(20年3月29日から)
羽田-シカゴ線(成田から移管)
JL010 羽田(11:45)→シカゴ(09:30)
JL009 シカゴ(12:25)→羽田(翌日15:35)

羽田-ダラス線(成田から移管)
JL012 羽田(10:55)→ダラス(08:25)
JL011 ダラス(10:55)→羽田(翌日14:20)

羽田-ホノルル線(成田から移管)
JL074 羽田(21:00)→ホノルル(09:20)
JL073 ホノルル(12:05)→羽田(翌日15:50)
JL072 羽田(21:55)→ホノルル(10:15)
JL071 ホノルル(15:45)→羽田(翌日19:30)

羽田-ニューヨーク線(成田から移管による増便)
JL004 羽田(18:30)→ニューヨーク(18:25)
JL003 ニューヨーク(01:30)→羽田(翌日04:45)

羽田-ロサンゼルス線(新設による増便)
JL016 羽田(17:00)→ロサンゼルス(10:50)
JL015 ロサンゼルス(13:45)→羽田(翌日17:20)

羽田-モスクワ(シェレメチェボ)線(成田から移管)
JL049 羽田(10:45)→モスクワ(14:55)
JL040 モスクワ(16:35)→羽田(翌日07:55)

羽田-ヘルシンキ線(成田から移管)
JL047 羽田(10:50)→ヘルシンキ(15:00)
JL048 ヘルシンキ(17:25)→羽田(翌日08:55)

羽田-シドニー線(成田から移管)
JL051 羽田(19:20)→シドニー(翌日07:10)
JL052 シドニー(09:15)→羽田(17:05)

羽田-デリー線(成田から移管)
JL039 羽田(10:55)→デリー(17:00)
JL030 デリー(19:30)→羽田(翌日06:55)

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