エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2019年9月19日 16:00 JST

「訓練生がやりづらい状況ではやらせたくない」特集・JALパイロット自社養成再開から5年(最終回)

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 2010年1月19日の経営破綻を契機に、資格維持を除いたパイロット訓練がすべて止まった日本航空(JAL/JL、9201)。新人パイロットの養成も全面停止となり、訓練生として入社した人も、地上勤務に移らざるを得なくなった。

 一方で、訓練が停止したことを契機に、新制度に大きく舵を切ることができた。訓練の初期段階から機長と副操縦士の2人乗務(マルチクルー)を前提に訓練する新方式「MPL(マルチクルー・パイロット・ライセンス)」を、2014年4月から導入。2017年2月には、MPLで合格した副操縦士が巣立っている。2012年9月19日にJALは再上場し、再生後の会社を成長させるフェーズに入った。世界的にパイロット不足が叫ばれる中、航空会社が求める能力を重視したパイロット育成を進めるべく、5年前の2014年8月21日からJALは米フェニックスでパイロットの自社養成を再開した。

グアム空港で訓練機に持ち込む専用カバンを手にする先任整備長の上田さん(左)ら=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 再開当時、運航本部長だった進俊則氏は、「訓練再開は早いのでは、という意見はありました」と、将来像を描く余裕がなかった社内事情を振り返る。しかし、この時に社長だった植木義晴会長は、進氏が申し出た訓練制度の見直しや、訓練生の育成再開にゴーサインを出し、パイロット訓練の変革がスタートした。

 今年4月から進氏の後任として運航本部長のポジションに就いた堤正行執行役員によると、破綻により一時はパイロットへの道を閉ざされそうになった訓練生は、無事訓練を終えたという。訓練中断となった最後のクラスは今年5月にチェックアウトし、副操縦士に昇格した。

 今回フェニックスやグアムでパイロット訓練を取材した際、教官や訓練を支える社員たちが現地で異口同音に言っていたことは、訓練を受けられることを当たり前に思わないで欲しいということだった。破綻からの再生で会社を去ることになった人など、多くの人の努力や犠牲の下に新しい訓練を始めることができたという、初心を忘れてはならない、と。

 特集最終回となる今回は、グアムで訓練を支援する整備士や社員に話を聞いた。訓練生たちが副操縦士に昇格後、最初に乗務するボーイング737-800型機の実機を初めて操縦するのがグアム。そこで訓練を支える人たちだ。(肩書きは取材当時)

—記事の概要—
整備士育成の場でもあるグアム
訓練現場知る人が赴任する意義

整備士育成の場でもあるグアム

 「グアムでは1時間半で15-16回離着陸しなければなりません。訓練生がやりづらい状況ではやらせたくない。早めにチェックして先手を打ち、壊れない飛行機にしようと整備しています」と、JALグアム空港所で先任整備長を務める上田晃さんは話す。

パイロット訓練生の実機訓練でグアム空港を出発するJALの737-800=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

グアム空港で整備を担当するJALの先任整備長の上田さん=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 かつてJALは、米国のモーゼスレイクや沖縄の下地島空港などで訓練飛行を行っていた。しかし、ここアントニオ・B・ウォン・パット・グアム国際空港では、定期便も飛んでいる。そして、ジャンボの愛称で親しまれたボーイング747型機では、「訓練用タイヤに交換していましたが、737は普通のままです。飛行機のモニタリングシステムに訓練用ソフトウェアを作り、機体の状態を監視しています」と、時代の変化に合わせ、整備の仕方も進化してきた。

 訓練用の機体を整備する際、整備士は専用カバンを持って駐機場へ向かう。整備作業を記録した書類などをまとめておき、訓練固有の整備作業に漏れが生じないようにしている。

 グアムへ赴任する前は成田空港で整備していた上田さんは、「成田はチームでやっているので頼れますし、自分でわからないところを見てもらえます。相談する場所があるわけです。ところが、ここでは自分の


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