エアライン, 官公庁 — 2019年1月18日 20:15 JST

ANA、滞在先での禁酒24時間以上に パイロット・CA対象、国交省に報告書

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 全日本空輸(ANA/NH)は1月18日、国土交通省航空局(JCAB)に対し、厳重注意に対する報告書を提出した。パイロットの飲酒トラブルが相次いだことによるもので、当面の間、滞在先での乗務24時間以内の飲酒を禁止する。

JCABに報告書を提出したANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAが提出した報告書によると、パイロットと客室乗務員を対象に、1月18日から当面の間、滞在先での乗務24時間以内の飲酒を禁止。乗務前後でアルコール検査を強化する。

 パイロットを対象としたアルコール検査では、従来使用していたデータを記録できないバータイプの検査機から、データを記録できるストロータイプのものに変更。国内の全空港では1月21日から、海外の全空港でも2月中に運用を開始する。乗務終了後は、第三者がチェックし、検査結果を記録し管理する。

 1月29日からは、客室乗務員と整備士、運航管理者など、航空に従事するすべての人を対象に、始業時と就業時に酒気を確認する。また、ANAグループ全社員を対象として、経営陣から飲酒に対する注意を随時喚起するほか、2018年12月27日には、アルコール対策委員会を発足。今後はアルコール依存症に関するカウンセリング環境も整備する。

 ANAグループでは、2018年以降飲酒トラブルが相次いだ。ANAと同じくANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANAウイングス(AKX/EH)では、10月25日朝の石垣発那覇行きNH1762便に乗務予定だった機長(当時)が体調不良を訴え、同便を含む計5便に1時間弱ずつの遅延が発生した。

 前日24日に沖縄県石垣市内で酒を飲み過ぎたことによるもので、機長はその後、11月6日付で諭旨退職処分を受けた。

 今年1月3日には、ANAウイングスの40代男性機長から乗務前にアルコールが検出され、国内線5便が遅れた。機長が規定時間や飲酒量を超えて酒を飲んでいたことに加え、同席した30代男性副操縦士に口裏合わせを依頼していた。

 ANA本体では、10月2日に当時パリ支店長兼ブリュッセル支店長だった50代男性が、パリ発羽田行きNH216便のビジネスクラスでワイン6杯を飲み、乗客にけがをさせて諭旨解雇処分となっている。

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