エアライン, ボーイング, 機体 — 2019年1月10日 21:02 JST

JAL客室乗務員、乗務中の飲酒認める ギャレーでシャンパン

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 2018年12月に、乗務中の女性客室乗務員(46)から社内基準を超えるアルコールが検出された問題で、日本航空(JAL/JL、9201)は1月10日、この客室乗務員が機内での飲酒を認めたと発表した。処分については、現在検討中だという。

JALの787-9のMIDギャレー=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
ギャレーで飲酒
過去にも機内飲酒

ギャレーで飲酒

JALの787-9=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 客室乗務員が乗務していたのは、12月17日の成田発ホノルル行きJL786便(ボーイング787-9型機、3クラス239席、登録記号JA874J)。JALによると、客室乗務員はビジネスクラスを担当しており、機内食のサービス後に疲れを感じたことから、シャンパンの小ビン(約170ミリリットル)を1本あけ、プラスチック製コップに半分ほどついで飲んだという。

 その後、同僚の客室乗務員3人がアルコール臭を感じ、別の1人を加えた4人が普段と様子が異なると感じたことから、機内でアルコール検査を実施。客室の責任者である先任客室乗務員が日本時間17日午後11時50分ごろ、手持ちのアルコール感知機を使って検査したところ、呼気から社内基準の1リットル当たり0.1ミリグラムに対し、0.15ミリグラムのアルコール値が2回検出された。30分ほどあけた3回目の検査でも、基準値を超えた。客室乗務員は最初にアルコールを検出された後、すべての業務から外された。

JL786便の客室乗務員サービス中配置図(JAL提供)

 このシャンパンは、プレミアムエコノミークラスの乗客に提供しているもので、客室乗務員はビジネスとプレエコの間にある「MIDギャレー」と呼ばれるギャレー(厨房設備)から持ち出していた。JL786便では40本搭載していたが、乗客に提供していないにもかかわらず、空きビン1本がMIDギャレーのゴミ箱から見つかった。

 JALによると、客室乗務員がシャンパンを飲んだのもMIDギャレーで、飲み残しはギャレーの流し台に捨てていたという。

 客室乗務員は、機内サービス時はビジネスクラスの進行方向右側の列を担当。緊急脱出時にドアを扱うポジションは左前方2番目の「L2」ドアで、MIDギャレーの左側にあたる。

過去にも機内飲酒

客室乗務員の飲酒問題を謝罪するJALの安部映里客室本部長(中央)ら=18年12月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 客室乗務員は当初、帰国後に行われた社内調査で飲酒を否定。マウスウォッシュを使用したなどと説明していた。しかし、2017年11月にも乗務中に飲酒の疑いがあったことや、この客室乗務員の証言に基づく実証実験では、マウスウォッシュや食べた食事がアルコール検査の結果に影響を及ぼす可能性がなかったことなどから、JALは客室乗務員が機内で飲酒したと判断した。

 その後、12月26日に客室乗務員は上司に対し、JL786便乗務中の飲酒を認める電話を入れ、28日と年明け1月3日に行われた面談で、飲酒の事実を認めた。

 客室乗務員は、2017年11月17日のホノルル発成田行きJL781便(777-200ER、JA708J)の乗務中にも、同乗した別の客室乗務員から飲酒を疑われていた。当時の社内調査では飲酒を明確に否定していたが、今回の面談翌日の2019年1月4日にJL781便でも乗務中に飲酒していたと上司へ電話で説明し、1月8日に改めて面談した結果、飲酒を認めた。

 再発防止策として、JALでは業務中の客室乗務員が実施する相互確認で、アルコール飲料や薬品の影響が疑われる場合、会社に報告することを義務化した。JALの客室乗務員は6000人弱で、このうち日本人は5000人強。現在は管理職1人が40人から45人の客室乗務員を管理しているが、2割から3割減らす。また、JALが社員に対して実施している飲酒に関する講習を、この客室乗務員は12月10日に受講したばかりだった。

 航空各社ではパイロットや客室乗務員の飲酒問題が相次いでおり、監督する国土交通省航空局(JCAB)はJALに対し、事業改善命令を12月21日に出している。JALは1月18日までに再発防止策を報告する。

*国交省がJALに業務改善勧告。記事はこちら

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