エアライン, ボーイング, 機体 — 2026年5月27日 07:19 JST

777X、コックピットの人的要因評価完了 737MAX事故後のFAA新指針対応

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 ボーイングは現地時間5月26日(日本時間27日)、次世代大型機777Xの旅客型777-9について、コックピット設計の人的要因に関するシミュレーター評価の第4段階を完了したと発表した。航空会社のパイロットが参加し、乗員が必要な作業を安全に実施できる設計になっているかを確認するもので、複数年にわたる評価には顧客航空会社のパイロット200人以上が参加した。

ボーイングの777-9シミュレーターで航空会社のパイロットに示す運航シナリオを作成する777Xチーフ・テクニカル・パイロットのゲイリー・マンディ機長(左)とエンジニアリング・テストパイロットのタナー・シムズ機長=PHOTO: Marian Lockhart/Boeing

 777-9は、コックピット設計に関する最新の人的要因要件への適合を示すため、航空会社のパイロットによるシミュレーター評価を用いたボーイング初の機種。FAA(米国連邦航空局)は、2018年と2019年に発生した737 MAXの2件の墜落事故を受け、2020年に成立した「航空機認証・安全・説明責任法(Aircraft Certification, Safety & Accountability Act)」に基づき、人的要因に関する指針を更新した。今回の評価は、この新指針に基づく要件に照らして、777-9のコックピット全体を確認する位置づけとなる。

 第4段階では、顧客航空会社5社の運航乗務員が、米シアトルにあるボーイングのシミュレーターで飛行シナリオに参加した。シナリオは、ゲート出発から到着までの一連の飛行や、設計上の特定要素を確認する部分的なシナリオで構成。ボーイングが飛行中に意図的にシステム不具合を発生させ、パイロットが適切な操作をしてチェックリストに従って対処し、安全に着陸できるかを確認した。

 参加したパイロットには、評価内容を事前に知らせなかった。特定の状況に対する偏りのない反応を見るためで、ボーイングはパイロットの判断や、コックピット内のハードウェア、システムとの相互作用を観察・記録した。評価対象は、コックピットの表示や操作系、チェックリスト、警報表示など全体に及んだ。

 評価に使うシナリオ作成には数カ月を費やした。ボーイングは、実際の旅客便運航に近い状況を再現するため、商業運航の経験を持つテクニカル・パイロットの知見を取り入れ、参加者が通常の乗務に臨む状況を再現したという。

 777-9のコックピット人的要因評価は、3年間にわたり4段階で実施。試験はドバイ、フランクフルト、ガトウィック、香港、マイアミ、シアトル、シンガポールの7カ所で行われた。約70の飛行シナリオを作成し、試験日数は118日。第4段階に向けては、ボーイングのエンジニアリング用シミュレーターで800時間以上の準備を行い、計画セッションは150回以上に及んだ。第4段階では、試験時の情報や反応を記録したメモが1万件を超えた。

777-9飛行試験機のコックピット=23年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 777-9のコックピットは、777や787との共通性を高めつつ、新しい機能を取り入れた。主な改良点は、タッチ操作に対応した大型ディスプレイ、787と同様のデュアル・ヘッドアップディスプレイのオプション、快適性を高めた新設計のパイロットシートなど。折りたたみ式の翼端については、展開、作動中、折りたたみの各状態を明確に示す専用の操作・表示装置を備える。

 ボーイングは、今回の評価データをFAAに提出し、777-9の型式証明取得を進める。777-9の初号機引き渡しは2027年を目指しており、今回得られた知見は、将来のボーイング機にも生かすという。

関連リンク
Boeing
ボーイング・ジャパン

量産機も初飛行
ルフトハンザ向け777X初号機が初飛行 客室仕様で認証試験へ(26年5月9日)

777-10も
777-10・A350-2000はどんな新機種? 特集・A380真の後継機現れるか(25年11月24日)

777X
777X、離陸中止想定のフルブレーキ試験 逆噴射使わず検証(26年4月4日)
777-8F貨物機の初号機、胴翼結合とシステム搭載進む ANAも発注(26年3月29日)
777X、FAA認証試験の第4段階承認 ANAも発注(26年3月21日)
777X、シミュレーターをFAA・EASAが初期認定(26年2月19日)
777X、26年後半に型式証明取得へ 新型機NMAは「時期尚早」=ボーイング幹部(25年12月11日)
777X、初納入2027年に ANAも発注、計画から7年遅延(25年10月29日)
777-8F貨物機、エバレットで製造開始 ANAも発注(25年7月22日)

777X試験機の機内動画(YouTube Aviation Wireチャンネル
【4K】Boeing 777X 試験機の機内【パリ航空ショー】

777X 写真特集
777Xコックピットは大型画面並ぶ
777X、急上昇・急旋回させダイナミックな飛行展示披露=ファンボロー航空ショー

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post