ボーイング, 機体 — 2025年12月11日 17:05 JST

777X、26年後半に型式証明取得へ 新型機NMAは「時期尚早」=ボーイング幹部

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 ボーイング民間航空機部門マーケティング担当バイスプレジデント(副社長)のダレン・ハルスト氏は12月11日、開発が進む777Xなどの進捗を明らかにした。現在は製造国が安全性を認める「型式証明」(TC)の取得を目指し開発が進んでおり、2026年後半にTCを取得する見通し。同様にTC取得を目指す737 MAXファミリー2機種も2026年の就航を目指し、開発を進めている。また新型コロナ前に計画していた新型機「NMA(New Middlesize Airplane)」は、早期の開発着手に否定的な見解を示した。

開発が進む777-9=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
777X「飛行試験順調」
737 MAX受注残4700機超
事実上凍結のNMA

777X「飛行試験順調」

777Xや737-10など開発中が進む機体の進捗を示すボーイングのハルスト氏=25年12月11日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 777の後継機となる開発中の次世代大型機777Xは、メーカー標準座席数が2クラス384席の777-8と、426席の777-9、777-8をベースとする大型貨物機777-8Fの3機種で構成し、777-9から開発が進められている。現在、FAA(米国連邦航空局)からのTC取得が遅れており、777-9の納入開始がさらに遅れ、2027年になる見通しだ。

 東京・虎ノ門のボーイング ジャパンで会見したハルスト氏は、777Xの現状について「飛行試験が順調に進んでいる。大きな問題も見つかっていない」と説明。TC取得については「具体的なタイムラインは難しい」とした上で、2026年後半に取得できるとの見通しを明らかにした。

 またエミレーツ航空(UAE/EK)が要望し、ボーイングが開発へ実現可能性を調査する新機種「777-10」については、エミレーツと同社のティム・クラーク社長と話をしているとした上で、「現時点では、設計が終わっている777XのTC取得に焦点を当てている」と述べ、将来性や発展性などの市場調査にとどまっているとした。

737 MAX受注残4700機超

 737 MAXは大別すると737-7から-10まで4つのタイプがあり、基準となる標準型は、737-800の後継で2016年1月に初飛行した737-8(737 MAX 8、1クラス189席)。現在は737-8と長胴型の737-9(737 MAX 9、同220席)の2機種で納入が進んでいる。

 開発を進めているのは胴体長がもっとも長い「最大の737 MAX」の737-10(737 MAX 10、同230席)と、胴体がもっとも短い短胴型の737-7(737 MAX 7、同172席)の2機種で、2026年の就航を目指し開発中だ。

ファンボロー航空ショーで飛行展示を披露する737-10=22年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 737 MAXは11月末現在で6850機を受注しており、このうち最多は737-8の4772機。737-9は497機を受注している。開発中の2機種のうち、737-10は1290機、737-7は291機受注した。これまでに2076機納入しており、受注残は4774機。ハルスト氏によると「2030年代半ばまでの受注残を獲得している」という。

 日本国内では全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)と日本航空(JAL/JL、9201)、スカイマーク(SKY/BC、9204)の3社が計70機超を発注済みで、ハルスト氏は「2026年から納入が始まる見通し」と述べた。個社ごとの納入見通しについては言及を避けた。

事実上凍結のNMA

 ボーイングは新型コロナ前に、737 MAXと787の間に位置する中型機「NMA」の計画を示唆していたが、現在は事実上凍結している。

 ハルスト氏は「現在、737-7と737-10、777Xの最新機材のTCをきちんと取得することに焦点を当てている」とした上で、「新型機は将来的な技術や機能を検討して考えたい」とした。現在開発中の機体を含め「旺盛な需要がある」(ハルスト氏)なことから、次世代機の開発は「現時点で時期尚早」との見解を示した。

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