エアバス, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2026年1月15日 23:11 JST

FAA、A320neo向けPW1100Gに耐空性改善命令 エンジン火災リスク

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 FAA(米国連邦航空局)は、エアバスA320neoファミリー向けエンジン米プラット&ホイットニー(PW)製「PW1100G-JM」に対し、新たな耐空性改善命令(AD)を発行した。ファンブレード破損に伴う燃料漏れから、エンジン火災に至るリスクを低減するのが目的で、2月17日に発効する。

 PW1100Gは、2023年にも不具合が発覚。世界的に点検作業による欠航などが生じた。この際、日本の航空会社では、ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)が運航する便に影響が出た。

PW1100Gを搭載したA320neo=PHOTO: P.Pigeyre, Master Films/Airbus

—記事の概要—
米国で586基対象
クランプ一時撤去とTMSクレビス交換

米国で586基対象

 今回の「AD 2025-26-04」は、PW1122G-JM、PW1124G-JM、PW1124G1-JM、PW1127G-JM、PW1127G1-JM、PW1127G1A-JM、PW1127G1B-JM、PW1127GA-JM、PW1129G-JM、PW1130G-JM、PW1133G-JM、PW1133GA-JM、PW1428G-JM、PW1428GA-JM、PW1428GH-JM、PW1431G-JM、PW1431GA-JM、PW1431GH-JMの各型。PW1100G-JMは、プラット&ホイットニー(PW)が開発したギアードターボファン(GTF)で、A320neoファミリーで選択できるエンジンの一つ。

PWがSBで示したPW1100Gのループクッションクランプとチューブ(CP09)の位置(同社SBから)

 FAAによると、PW1100Gではファンブレードの破損事例が複数報告されており、このうち3件でエンジンカウル内の火災や、漏えいした燃料によるプール火災が発生した。ファンブレードが折損した際に燃料配管「CP09チューブアセンブリ」から燃料が漏れると、制御不能なエンジン火災や機体損傷につながるおそれがあるとして、是正措置を義務付けた。

 FAAは、このADの対象となるエンジンが米国登録機に計586基搭載されていると試算。1基あたりの作業コストは、クランプ取り外しが765ドル、TMSクレビスマウント交換が2万6095ドル(うち部品代1万7000ドル)、クランプ再装着が765ドルとしている。

 日本の航空会社が運航するA320neoとA321neo、A321LRのうち、PW1100Gを選定したのはANAのA320neoとA321neoのみ。

 そのほかの航空会社のA320neoファミリーは、CFMインターナショナル製「LEAP-1A」を選択しており、今回の問題は影響しない。

クランプ一時撤去とTMSクレビス交換

 ADでは、暫定措置として発効日から30日以内、または対象エンジンの取り付け時のいずれか遅い方までに、CP09チューブアセンブリからループクッションクランプ(部品番号ST1540-06)を1個取り外すよう求めた。作業はPWのアラート・サービスブリテン(ASB)「PW1000G-C-73-00-0053-00A-930A-D Issue 005」に従って実施する。

PWがSBで示したPW1100Gのチューブ(CP09)の検査箇所(同社SBから)

 恒久対策としては、発効日以降の次回の工場整備(エンジンを整備のために工場へ入れるタイミング=エンジンショップビジット)で、熱管理システム(TMS)のクレビスマウントを再設計品に交換することを義務付けた。交換作業はASB「PW1000G-C-72-00-0214-00A-930A-D Issue 006」に基づいて実施し、その際にループクッションクランプを再装着する。

 FAAは、このクレビスマウント交換とクランプ再装着を行った場合、クランプ取り外しの要件は満たされた(ターミネーティング・アクション)とみなすと説明している。すでにASBに沿って対策を終えたエンジンについては、「有効日以前に実施済みの場合は再実施は不要」とする一般規定により、追加措置は求めない。

 工場整備については、本ADの定義として「整備のためにエンジンをショップにインダクションすること」と明記。FAAは意見募集に対する回答の中で、特定の不具合に対処する限定的な短期整備(クイックターン)であっても、工場に搬入する以上は本ADにおけるショップビジットに含まれるとの考え方を示した。

 PW1100Gは、A320neoや長胴型のA321neo、短胴型のA319neoなど、A320neoファミリーに搭載するエンジンで、米RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)傘下のPWと一般財団法人日本航空機エンジン協会(JAEC)、独MTUアエロエンジンズが設立した合弁会社IAE(インターナショナル・エアロ・エンジンズ)が主体となり、2011年から開発を開始した。型式証明はIAEが取得している。

 JAECは全体の23%を担当し、三菱重工航空エンジン、IHI、川崎重工業(7012)が参画している。

 PW1100Gを巡るトラブルは、2023年にも発覚。特定のエンジン部品を製造する際に使われる粉末金属に「まれに発生する症状」があるとして、エンジンを機体から取り下ろす点検が生じた。

関連リンク
FAA
Pratt & Whitney
Pratt & Whitney Geared Turbofan
日本航空機エンジン協会

PW1100G問題
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型式取得
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