ANA、12/1は通常運航　A320作業対象は37機中34機、11/30朝完了

　全日本空輸（ANA/NH）は、EASA（欧州航空安全庁）が現地時間11月28日（日本時間29日未明）に出したエアバスA320ファミリー（系列）へのEAD（緊急耐空性改善命令）に基づく整備作業の影響で、29日と30日の2日間で国内線101便が欠航し、約1万3730人に影響が及んだが、12月1日は通常運航に戻っている。

羽田空港に並ぶ（手前から）A321neoとA320neo（資料写真）＝PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　ANAは現在、A321neoを22機、A320neoを11機、A321ceoを4機の計37機のA320系列機を運航。同社によると、34機が対象になり、30日朝までに不具合が報告された飛行制御コンピューターのソフトウェアの更新作業を終えた。

　30日の欠航は、羽田－庄内線の1往復（NH393/396）、羽田－佐賀線の1往復（NH451/454）、羽田発鹿児島行きNH619便、広島発羽田行きNH672便の計6便で、約530人に影響。初日の29日は国内線95便を欠航し、約1万3200人に影響が出た。

　また、A320neoとA321neoは、エンジンの整備作業も続いている。2種類のエンジンを選定でき、ANAはプラット＆ホイットニー（PW）製エンジン「PW1100G-JM」を採用。日本でA320neoや派生型を運航する航空会社のうち、PW1100Gを選定したのはANAのみ。同エンジンは2023年9月に不具合が発覚し、ANAも整備作業を続けており、現在は37機のうち30機前後が稼働しているという。新型コロナの影響で部品調達に時間がかかっており、作業が長期化している。

　EADに基づく主な整備作業は、飛行制御コンピューターのソフトウェア更新。EASAによると、A321、A320、A319の一部機体に搭載されている飛行制御コンピューター「ELAC（エレベーター・エルロン・コンピューター）」が誤作動を起こす可能性があるとして、EADを発出した。

　現地時間10月30日に、米ジェットブルー（JBU/B6）のカンクン発ニューヨーク（ニューアーク）行きB61230便（A320、登録記号N605JB）で起きた意図しない機首下げ（ピッチダウン）が発生。エアバスが実施した初期の技術評価で、飛行制御コンピューター「ELAC B L104」の不具合である可能性が出てきたことが、EAD発出につながった。

　エアバスによると、太陽フレアに伴う宇宙線によりデータの破損につながる恐れがあると判明。現在運航中のA320系列のうち、影響を受ける可能性がある多数の機体をエアバスが特定した。海外の報道では、対象機数は6000機に上るとの見方が出ているが、エアアジア・グループなど大口顧客の中でも作業完了を公表しているところがみられ、影響が限定的になる可能性も出てきた。

　同じくANAホールディングス（ANAHD、9202）傘下でLCC（低コスト航空会社）のピーチ・アビエーション（APJ/MM）はA320系列のうち、A321LR（1クラス218席）を3機、A320neo（同188席）を19機、A320ceo（従来型A320、同180席）を15機の計37機運航しているが、整備作業を29日正午前に完了し、これに伴う欠航は発生しなかった。

　A320系列を運航するジェットスター・ジャパン（JJP/GK）は、運航している22機のうち15機が対象になったが、29日は欠航せずに作業を進められたといい、30日朝までに作業を終え、通常運航を予定している。また、スターフライヤー（SFJ/7G、9206）もA320ceoとA320neoを運航しているが、29日に作業を終えた。

関連リンク
EASA
Airbus
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2日間で101便欠航
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ANAのA321neo
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写真特集・ANA A320neo初号機就航
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