エアバス, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2025年11月29日 07:37 JST

A320、太陽フレアで飛行制御データ破損の恐れ ANAは95便欠航

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 エアバスは現地時間11月28日(日本時間29日)、小型機のA320neoやA321neoなどA320ファミリー(系列)の機体のうち、一部が強い太陽フレアの影響を受け、飛行制御に必要なデータが破損する可能性があるとして、予防措置を講じたと発表した。この影響で、全日本空輸(ANA/NH)は29日の国内線95便を整備作業のため欠航し、約1万3200人に影響が出る見通し。

*EASAのEAD詳報はこちら
*ピーチ、ジェットスターは欠航なし。

太陽フレアの影響で飛行制御データ破損のおそれがあるエアバスA321neoなどA320系列の機体=17年6月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアバスによると、最近発生した事象の分析で、太陽フレアに伴う宇宙線によりデータの破損につながる恐れがあると判明。現在運航中のA320系列のうち、影響を受ける可能性がある多数の機体をエアバスが特定した。これを受け、同社は航空当局と連携し、AOT(運航者向け警告伝達)を通じて即時の予防的措置を要請した。ANAの整備作業は、これに基づくもの。

 AOTの内容は、EASA(欧州航空安全庁)によるEAD(緊急耐空性改善命令)に反映される見通し。

 エアバスによると、10月末時点で運航中のA320系列の機体は世界で1万1293機。このうち、新型エンジンを搭載する「neo」は4220機で内訳はA320neoが2286機、長胴型のA321neoが1896機、短胴型のA319neoが38機となり、従来型「ceo」は7073機で内訳はA320ceoが4154機、A321ceoが1697機、A319ceoが1222機となっている。

 ANAは今年9月末時点で、A321neoを22機、A320neoを11機、A321ceoを4機の計37機を運航している。

 同じくANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下でLCC(低コスト航空会社)のピーチ・アビエーション(APJ/MM)はA320系列のうち、A321LR(1クラス218席)を3機、A320neo(同188席)を19機、A320ceo(従来型A320、同180席)を15機の計37機運航しているが、整備作業に伴う欠航は発生しない見通し。

関連リンク
Airbus
全日本空輸

EASAのEAD詳報
EASA、A320系列に耐空性改善命令 ELAC誤作動の可能性(25年11月29日)

ピーチは作業完了し欠航なし
ピーチ、A320整備完了 対象少数で欠航ゼロ(25年11月29日)
ピーチ、A320・A321欠航なし EASAの緊急耐空性改善命令(25年11月29日)

写真特集・ANA A321neo初号機
機内編 各席に個人モニターや電源装備(17年9月10日)
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ANAのA321neo
ANA、A321neo国内初就航 電源と個人モニター装備(17年9月12日)
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ANA、777-9XとA321neoなど70機発注 過去最大の投資規模(14年3月27日)

写真特集・ANA A320neo初号機就航
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写真特集・ANA A321ceo国内線仕様
前編 電動シートのプレミアムクラス(16年11月17日)
後編 初号機はハンブルク製(16年11月18日)

*ANAの欠航便数・影響者数を更新しました(25年11月29日 08:02 JST)