エミレーツ航空(UAE/EK)は、総2階建ての超大型機エアバスA380型機の運航を2040年代まで続けるため、同機に搭載するロールス・ロイス製エンジン「トレント900(Trent 900)」のMRO(整備・修理・分解点検)を、2027年から自社で実施する体制を整える。

A380を2040年代まで延命するエミレーツ航空=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
自社整備はドバイに新設する施設で実施し、ファンケースを修理。ロールス・ロイスは、各モジュールの修理能力を維持し、エミレーツは同社との長期保守・管理サービス「トータルケア」も2040年代まで延長した。
今回の契約は、ドバイで現地時間11月17日から開かれたドバイ航空ショーで発表したもの。エミレーツは、自社で エンジン整備能力を持つことで、2040年代までの長期運航に必要なコストと体制を安定化させる。トレント900は、エミレーツが過去10年に受領した機体に搭載されており、旅客機として通常想定される退役時期の約20年を超えても運航できるようにする。

エミレーツ航空に引き渡されたA380最終号機(エアバス提供)
エミレーツはA380の最大顧客で、世界最多の123機発注し現在は116機保有。2008年に初号機(登録記号A6-EDA)を受領し、シャワールームやバーカウンターなどの設備も話題を集めた。2021年12月に引き渡された123番目の機体はA380の最終号機でもあり、4クラス484席仕様となっている。
一方で、A380の生産完了後も500席級の後継機は登場していない。エミレーツは、ボーイングの次世代大型機「777X」ファミリーのさらなる長胴型「777-10」や、エアバスのA350-1000の胴体を延長した「A350-2000」といった次世代機導入の検討を進めているが、いずれも正式なローンチには至っていない。現時点で選択肢が限られる中、エミレーツは既存のA380を延命し、後継機を慎重に見極める。
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