ボーイングは現地時間11月17日、開発中の大型機777Xをエミレーツ航空(UAE/EK)から65機追加受注したと、同日に開幕したドバイ航空ショー2025で発表した。同社3回目の発注で、発注量は270機となった。またエミレーツは、ボーイングが市場調査する新機種「777-10」への機種変更も選択肢として検討する。

エミレーツ航空の777X(イメージ、ボーイング提供)
777Xは、メーカー標準座席数が2クラス395席の777-8と、426席の777-9の旅客型2機種に加え、構造上の最大搭載重量118トン、有償搭載重量(ペイロード)112トンの貨物型777-8Fの計3機種で構成。777-9から開発が進められている。エンジンはGE製GE9Xを採用している。
追加発注した65機はいずれも777-9で、777Xの他機種へ変更するオプションも設定する。同社は過去2回で777-9を同型機最多発注となる205機発注済みで、今回の追加発注によりさらに上積みする。エミレーツによると追加分の65機は、777-8のほか、ボーイングが開発へ実現可能性を調査する新機種「777-10」にも変更できるという。
エミレーツ航空は、運用効率の高い大型機の開発を機体メーカーに強く望んでいることを公に表明している。航空需要の増加と空港の制約増大を見据えたもので、同社のシェイク・アハメッド・ビン・サイード・アル・マクトゥーム会長は777-10開発について「実現可能性調査を全面的に支持する」との声明を発表した。
ボーイングは777-9の納入開始について、さらに遅れ、2027年になる見通しだと現地時間10月29日に発表。FAA(米国連邦航空局)が機体の安全性を証明する「型式証明」の取得が遅れているためで、2013年11月のローンチ時点に計画していた納期「2020年」から、早くても7年遅れることが確定した。日本では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が発注している。

エミレーツ航空の777X(イメージ、同社提供)

777-9の飛行試験機=23年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
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