エアバス, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2019年5月22日 12:41 JST

エアバス、500席機計画なし フォーリCEO「市場変わった」 A380後継なくA350-1000がフラッグシップ

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 エアバスのギヨム・フォーリCEO(最高経営責任者)は仏トゥールーズで現地時間5月21日(日本時間22日)、500席クラスの超大型機について現在は計画がないことを明らかにした。2021年で生産を終える総2階建てのA380型機の直接的な後継機はなく、A350-1000が同社のフラッグシップとなる。

A380生産終了後は最大のエアバス旅客機となるA350-1000=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エアバスのフォーリCEO=19年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアバスは同社最大の機体であるA380を、2021年に生産終了する。2005年4月27日に初飛行し、2007年10月15日にシンガポール航空(SIA/SQ)へ初号機が引き渡されたA380について、フォーリCEOは「マーケットが変わってきており、航空会社から選ばれなかった。双発機の重要性が増している」と、4発機であるA380が時代に合わなくなっていることを認めた。

 A380のメーカー標準座席数は4クラス400-550席、最大853席。最多発注しているエミレーツ航空(UAE/EK)は3クラス489席(ファースト14席、ビジネス76席、エコノミー399席)と、3クラス517席(ファースト14席、ビジネス76席、エコノミー427席)、2クラス615席(ビジネス58席、エコノミー557席)が主要レイアウトで、24日に成田-ホノルル線専用に就航させる全日本空輸(ANA/NH)は4クラス520席(ファースト8席、ビジネス56席、プレミアムエコノミー73席、エコノミー383席)となっている。

 一方、A380の生産完了後にエアバス最大の旅客機となるのは、A350 XWBファミリーの長胴型A350-1000で、メーカー標準座席数は3クラス350-410席、最大440席。標準型のA350-900(3クラス300-350席)より50席程度座席を増やせる機体だ。

 A380のように500席クラスを実現するためには、A350-1000よりもさらに大きい“A350-2000”とも言える機体が必要ではと、航空関係者の間でここ数年ささやかれてきた。競合のボーイングは、777Xファミリーの長胴型777-9の標準座席数を2クラス400-425席としている。

 フォーリCEOは、500席クラスの機体について「市場の需要が小さい」として、A350-1000よりも大きい旅客機は、現時点で計画していないとした。

 A350の短胴型として計画されたA350-800については、2016年5月にファブリス・ブレジエCEO(当時)がAviation Wireの取材に対し、「A350-800を開発することは、航空会社にとっても、われわれにとっても最善ではない」として、開発しない方針を示していた(関連記事)。フォーリCEOもこれを踏襲し、A350-900とA350-1000に注力するという。

 ジャンボの愛称で親しまれた747の最新型747-8も、このところ貨物機の受注のみ。2大航空機メーカーが製造する旅客機のラインナップから、超大型機というジャンルがまもなく消えることになりそうだ。

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