エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2025年8月4日 12:28 JST

NCA、ANAグループ入り 延期8度で子会社化、貨物事業強化

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 全日本空輸(ANA/NH)などを傘下に持つ持株会社のANAホールディングス(ANAHD、9202)は8月4日、日本貨物航空(NCA/KZ)の完全子会社化によるANAグループ入りを祝う歓迎式典を成田空港で開いた。欧米への貨物便を多く運航するNCAを8度の延期を経て傘下に収めたことで、エアライン事業の利益拡大を目指す。NCAのグループ入りで、ANAグループの航空貨物事業は輸送重量ベースで世界14位となった。

NCAのANAグループ入りを祝う歓迎式典で社員と記念撮影するANAホールディングスの芝田浩二社長とNCAの本間啓之社長ら=25年8月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

NCAのANAグループ入りを祝う歓迎式典で挨拶するANAホールディングスの芝田浩二社長=25年8月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAHDの芝田浩二社長は「NCAが強みとする日本と欧米を結ぶ貨物便ネットワークが加わることで、日本とアジア、欧米間をつなぐ輸送力が強化され、本邦最大の(旅客と貨物を扱う)コンビネーションキャリアとして大きく進化する」とあいさつした。

 8度の延期について、芝田社長は「こんなに長引くとは思っていなかった」と振り返りつつ、「会社の統合はお互いの理解が進まないと、なかなか上手くいかない。(延期となった)2年の間にNCAの中で機運の醸成が進み、理解が進んだ」と語った。

ANAグループ入りを祝う歓迎式典で挨拶するNCAの本間啓之社長=25年8月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 NCAの社長は引き続き本間啓之氏が務める。本間社長は「1978年の創業から7年後の1985年に就航し、2005年からはオペレーションの自立化、5月8日には就航40周年を迎え、今回のANAグループ入りは第3の創業とも言える変革と飛躍の機会を得た」と述べた。

 ANAは持株会社移行前の2005年まで、NCAに27.59%出資していたが、全株式を日本郵船(9101)に譲渡。NCAの子会社化は、2023年7月10日の発表当初は同年10月1日を予定していた。その後、1回目の延期で2024年2月1日、2回目で4月1日、3回目で7月1日、4回目で2025年3月31日、5回目で5月1日、6回目で5月23日、7回目で7月1日、6月25日発表の8回目で8月1日に延期。最後に残った中国当局による審査完了を受け、予定していた8月1日付で完全子会社化した。

 NCAが自社運航する貨物機は、搭載可能重量が133トンのボーイング747-8F型機が8機。ANAが運航する貨物専用機は、100トンの大型機777Fが2機、50トンの中型機767Fが6機の計8機で、NCAと合わせてグループでは16機になった。

 今回の完全子会社化で、ANAHDは2026年3月期第2四半期連結決算から、NCAの貸借対照表と損益計算書を連結する予定としている。

NCAのANAグループ入りを祝う歓迎式典で挨拶するANAホールディングスの芝田浩二社長=25年8月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAグループ入りを祝う歓迎式典で挨拶するNCAの本間啓之社長=25年8月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

NCAのANAグループ入りを祝う歓迎式典で握手を交わすANAホールディングスの芝田浩二社長(左)とNCAの本間啓之社長=25年8月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

NCAのANAグループ入りを祝う歓迎式典で社員と記念撮影するANAホールディングスの芝田浩二社長とNCAの本間啓之社長ら=25年8月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

NCAのANAグループ入りを祝う歓迎式典で社員と記念撮影するANAホールディングスの芝田浩二社長とNCAの本間啓之社長ら=25年8月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

就航40周年のデカールが貼られたNCAの747-8F=25年8月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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