官公庁, 機体 — 2025年6月21日 23:55 JST

ポルトガル、KC-390追加導入で6機に 欧州・NATO向けオプションも

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 ポルトガルは、エンブラエルの空中給油・輸送機KC-390「ミレニアム」を追加導入することを決定した。既存契約分の5機に1機が加わり、ポルトガル空軍のKC-390は6機体制になる。また、欧州諸国やNATO加盟国向けに新たに10機分の購入オプションも設定され、KC-390の拡販を後押しする。

ポルトガルがパリ航空ショーで追加導入を決めたKC-390(エンブラエル提供)

 KC-390は、貨物や兵員の輸送・空中投下、医療搬送、捜索救難(SAR)、人道支援、災害対応(HADR)、空中消火、空中給油(AAR)など、多用途の任務に対応できる中型の軍用輸送機。短距離滑走路での運用能力や、空中給油機能などを備える。ポルトガルは2023年から運用しており、現在までに99%の任務完遂率を達成している。

 KC-390は戦闘機などに給油できるほか、翼下ポッドを使い別のKC-390にも給油できる。

 6機目の取得はポルトガル空軍初となるKC-390の追加調達で、現地時間6月16日に開幕したパリ航空ショーで発表された。ポルトガルのヌーノ・メロ国防相は「ポルトガルはこの航空機のリファレンス・オペレーターとして能力向上を図り、欧州・NATO諸国との相互運用性を高めていく。政府間契約の枠組みを通じたオプション設定は、KC-390の新規導入国を支援し、防衛産業基盤の発展と財政的な利益にも貢献する」と述べた。

 また、ポルトガルでは航空宇宙企業OGMAがKC-390の中胴などの製造を担っている。1918年創業の同社は2004年に民営化され、現在はエンブラエルのグループ企業となっており、C-390ファミリーの製造のほか、欧州市場のエンブラエル機のMRO(整備・修理・分解点検)などの分野で重要な役割を果たしている。

 C-390を選定した国は9カ国で、ブラジルとポルトガルが空中給油・輸送機のKC-390、ハンガリーとオランダ、オーストリア、チェコ、韓国、スウェーデンは輸送機のC-390を選定。2024年12月には、匿名顧客がC-390を2機発注した。

ポルトガル空軍向けKC-390(エンブラエル提供)

ポルトガルがパリ航空ショーで追加導入を決めたKC-390(エンブラエル提供)

関連リンク
Portuguese Air Force
Embraer Defense & Security
OGMA

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