スウェーデン国防省は、ブラジルのエンブラエルが開発した双発の多目的中型輸送機C-390「ミレニアム」を4機導入すると決定した。欧州では6カ国目、NATO(北大西洋条約機構)加盟国では5カ国目、北欧では初の導入となり、生産枠も確保した。

スウェーデン空軍のC-390のイメージ(エンブラエル提供)
スウェーデンは、ターボプロップ(プロペラ)の戦術輸送機C-130のスウェーデン向け「TP 84」の後継機となる次期戦術輸送機として、2024年11月にC-390を選定。国防力の強化に加え、訓練やロジスティクス分野で欧州域内の相乗効果も期待されている。
C-390の最大ペイロードは26トン。航続距離は26トン搭載時が2000キロ(1080海里)、フェリー時が6241キロ(3370海里)、最高巡航速度はマッハ0.80(470ノット)で、貨物や物資、部隊の輸送、捜索救助など、多目的に運用できる。
スウェーデンの導入により、C-390を選定した国は9カ国目。ブラジルとポルトガルは空中給油・輸送機のKC-390、ハンガリーとオランダ、オーストリア、チェコ、韓国、スウェーデンは輸送機のC-390を選定。2024年12月には、匿名顧客がC-390を2機発注した。

ブラジル空軍のKC-390の機内=24年6月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ファンボロー航空ショーで展示飛行するエンブラエルのKC-390=24年7月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

C-390を4機導入するスウェーデン(エンブラエル提供)
関連リンク
Försvarsdepartementet
Embraer Defense & Security
最新動向
・エンブラエル、オーストリア空軍向けC-390製造開始(25年2月17日)
・エンブラエル、KC-390初飛行10周年(25年2月5日)
・エンブラエルC-390、匿名顧客が2機発注 10番目の採用国(24年12月27日)
・スロバキア国防省、C-390導入視野 1月から正式手続き(24年12月11日)
C-390解説
・軍用輸送機C-390でも存在感 エンブラエル、C-130経年機置き換え狙う(24年7月22日)
チェコやスウェーデンがC-390発注
・スウェーデン国防省、C-390選定 NATOで5カ国目(24年11月10日)
・チェコ国防省、C-390発注 NATOで4カ国目(24年10月26日)
・エンブラエル、チェコのC-390製造分担増へ MROや産学連携も強化(24年10月4日)
・チェコ国防省、次期中型輸送機にC-390選定へ(23年10月18日)
C-390
・エンブラエル、南アにC-390提案 経年機置き換え(24年9月25日)
・ハンガリー空軍、エンブラエルC-390初受領 集中治療室も搭載可(24年9月6日)
・韓国空軍、新輸送機にC-390選定 アジア初、7カ国に(23年12月5日)
・KC-390、初のNATO仕様がポルトガル空軍就役(23年10月20日)
・ブラジル空軍C-390、1万飛行時間に到達 就航4年で(23年10月19日)
・オーストリア、新輸送機にC-390選定 C-130後継(23年9月21日)
