エンブラエルは、多目的中型輸送機KC-390「ミレニアム」が初飛行から10周年を迎えた。母国ブラジルやポルトガルをはじめ10カ国が採用している。

10年前に初飛行したエンブラエルのKC-390(同社提供)
KC-390はC-390の空中給油・輸送型で、2015年2月3日にガビアン・ペイショトで初飛行。リージョナルジェット機世界最大手であるブラジルのエンブラエルが開発した双発の中型輸送機で、2018年10月に量産初号機が初飛行し、ANAC(ブラジル民間航空庁)の型式証明を取得した。
最大ペイロードは26トン、航続距離は26トン搭載時が2000キロ(1080海里)、フェリー時が6241キロ(3370海里)、最高巡航速度はマッハ0.80(470ノット)。貨物や物資、部隊の輸送、捜索救助など、多目的に運用できる。ロッキード・マーチンのターボプロップ戦術輸送機C-130「ハーキュリーズ」の置き換えなどで採用が進んでいる。
ブラジルとポルトガルは空中給油・輸送機のKC-390、ハンガリーとオランダ、オーストリア、チェコ、韓国、11月に選定したスウェーデンは続いて開発された輸送機のC-390を選定。2024年12月には、匿名顧客がC-390を2機発注した。
KC-390は現在、ブラジル空軍が7機、ポルトガル空軍が2機、ハンガリー空軍が1機の計10機が運用されており、累計飛行時間は1万6300時間以上。任務遂行率は93%、任務完了率は99%以上と、高い稼働率を維持している。

10年前に初飛行したエンブラエルのKC-390(同社提供)

10年前に初飛行したエンブラエルのKC-390(同社提供)

10年前に初飛行したエンブラエルのKC-390(同社提供)

10年前に初飛行したエンブラエルのKC-390(同社提供)
関連リンク
Embraer Defense & Security
最新の受注
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C-390解説
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チェコやスウェーデンがC-390発注
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C-390
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