エアバス, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2025年4月15日 14:18 JST

「就航したての機体のように」JAL A350-1000初の重整備完了へ、2号機ロゴなしに

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 日本航空(JAL/JL、9201)は4月14日、国際線の新フラッグシップとなったエアバスA350-1000型機に対する初の重整備を報道関係者に公開した。フライト時間や経過年数などに応じて実施される定期的な整備作業で、1日の入社式にも“列席”した2号機(登録記号JA02WJ)がJALのA350-1000では最初の重整備を迎えた。16日にも作業を終える見通しで、大詰めを迎えている。

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
整備性はA350-900とほぼ同じ
A350-1000ロゴなしに

整備性はA350-900とほぼ同じ

 重整備は「C-CHECK」「K-CHECK」「M-CHECK」の3種類があり、今回実施するものはC-CHECK(Cチェック)。航空機の安全性を確保するため、これらの中でも重要な整備作業にあたるといい、おおむね1年半から2年ごとに実施している。

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJの個室タイプのビジネスクラスを整備する整備士=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのプレミアムエコノミークラスを整備する整備士=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2号機は3月29日にロンドンからJL44便で羽田へ戻り、Cチェックに入った。入社式翌日の2日からは、機体全体を取り囲む足場が用意された格納庫「M1ハンガー」で作業が行われており、羽田航空機整備センターの永川孝之・機体点検整備部付マネジャーによると、現在は初の個室タイプとなったビジネスクラスをはじめ、主に客室の整備作業が行われているといい、15日は機体底部に格納されている非常用発電装置「ラムエア・タービン」の動作テストも行われた。

 今回の主なチェック項目は、各舵面のルブリケーション、各エリアのインスペクション、ハイドロシステムのフィルターエレメント交換、シートのオペレーションチェック、各システムのオペレーションチェック、エンジンのボア・スコープ・インスペクションとなった。

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJと永川マネジャー=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 永川マネジャーは「エンジンはオイルや空気が通るフィルター交換も行っています」と、機体とともに英ロールス・ロイス(RR)製エンジンTrent XWB-97(トレントXWB-97)に対する整備作業も進めている。

 一方、2019年9月1日に就航したA350-900は、最初のCチェックは初号機(JA01XJ)が迎え、2021年6月に実施。JAL初のA350に対するCチェックとなった。A350-900は現在15機で、全機が国内線仕様機となっている。

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのラムエア・タービン=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

A350-900の4本から2本増えて6本となったA350-1000の主脚=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「A350-1000は-900と比べて胴体が約7メートル長く、重量が重いです。主脚のタイヤはA350-900が片側4本、A350-1000は6本と2本増えています」と説明。国際線機材のA350-1000と国内線用のA350-900で大きく異なる客室の仕様を除くと、「A350は-900と-1000では、それほど大きい違いはありません。システムは少し分かれる部分はありますが、エンジンの推力やタイヤの本数ぐらいです」と、これまで整備してきたA350-900の作業と大差はなく、共通性が高いという。

 A350としては、従来は紙やiPadなど携帯電子機器で閲覧していたMM(メンテナンス・マニュアル)がコックピットでも確認できるようになったといい、細かい部分で整備作業がしやすくなった。「就航したての新しい機体のように元に戻し、お客さまに快適に過ごしていただける機体に仕上げます」と話していた。永川マネジャーによると、整備作業と並行して機体の清掃作業も進められており、外観もピカピカな状態になっていた。

A350-1000ロゴなしに

 2号機はエアバスの最終組立工場がある仏トゥールーズで現地時間2024年1月10日に引き渡され、羽田空港には同月14日に到着。当初は2月2日に就航予定だったが、整備作業が計画より早く完了したため、1月26日に前倒しして就航し、1路線目の羽田発ニューヨーク行きJL6便に投入された。

羽田空港を離陸するJALのA350-1000 2号機JA02WJ=24年12月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

「A350-1000」ロゴがはがされたJALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 現在8機あるA350-1000のうち、初号機(JA01WJ)と2号機は機体後部の左右に赤い「A350-1000」ロゴのデカールが貼られている。大きさは1枚約2メートル×1メートルのものを片側28枚、計56枚貼り付けており、2号機は4月17日からロゴ入りで運航していた。今回のCチェックの際にロゴははがされ、初号機のみがロゴ入りの機体となった。

 JALのA350-1000は、2024年1月24日に就航。座席数は4クラス239席で、ファーストクラスとビジネスクラスはJAL初の個室タイプのシートを採用した。ファーストが6席(1列1-1-1席)、ビジネスが54席(同1-2-1席)、プレミアムエコノミーが24席(同2-4-2席)、エコノミーが155席(同3-3-3席)で、ファーストクラスは座席上のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)をすべてなくし、ビジネスは窓側のみとすることで開放感のある客室に仕上げた。

 ボーイング777-300ERの後継機で、13機発注済み。2025年度は3機受領し、11機体制を計画している。2月12日からは初のアジア路線として、羽田-シンガポール線にも期間投入し、5月1日からは羽田-パリ線に就航し、2025年度夏ダイヤ期間中(3月30日から10月25日)にはロサンゼルス線への投入も予定している。

*写真は31枚。

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのR1ドア付近=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJの個室タイプのビジネスクラスを整備する整備士=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJの個室タイプのビジネスクラスを整備する整備士=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのプレミアムエコノミークラスを整備する整備士=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのプレミアムエコノミークラスを整備する整備士=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのエコノミークラス=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのエコノミークラス=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのWi-Fiアンテナ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのWi-Fiアンテナ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJの主翼=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJの前脚=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのエンジンTrent XWB-97=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJのエンジンTrent XWB-97=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJの主脚=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJの主脚カバー=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJの主脚カバー=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのA350-1000初の重整備を受ける2号機JA02WJ=25年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
JAL国際線 AIRBUS A350-1000
日本航空

写真特集・初回Cチェック迎えたJAL A350-900
前編 主脚扉裏にはステップ(21年12月31日)
後編 グレーの普通席、布を外すと赤だった(21年12月31日)

受領計画
JAL A350-1000、27年度に13機体制へ “7号機”は25年4-6月期に(25年2月4日)

アジア初投入
JAL、A350-1000をアジア初投入 シンガポール2/12から期間限定(25年1月28日)

就航1周年
JAL、A350-1000が就航1周年 初便と同じNY行きで記念品(25年1月25日)

夏ダイヤ計画
JAL A350-1000、パリ5/1就航 ロサンゼルスも夏ダイヤに(25年1月21日)

動画(YouTube Aviation Wireチャンネル
JAL A350-1000 ロンドン線初便 羽田出発

初便就航
JAL、A350-1000就航 20年ぶり旗艦機刷新、豪華個室席で羽田-NY(24年1月24日)
JALのA350-1000、羽田離陸しNYへ 新旗艦機13機で777-300ER更新(24年1月24日)

写真特集・JAL新旗艦機A350-1000
(1)ダブルベッドも可能な個室ファーストクラス
(2)個室内で完結する足もと広々ビジネスクラス
(3)後ろを気にせず電動リクライニングできるプレエコ
(4)4K13インチ画面エコノミーは快適さ追求