中部空港(セントレア)を運営する中部国際空港会社(CJIAC)は12月18日、すべての利用者に分かりやすい「ユニバーサルデザイン(UD)」を施した新たな優先席を導入した。着座・起立が容易になるよう座面の高さを上げて水平に近づけたほか、優先席としての視認性を高めた。第1ターミナル(T1)の搭乗口付近に設置し、国際線と国内線にそれぞれ導入する。

中部空港が導入したUD採用の新優先席(中部国際空港会社提供)
新しい優先席は、座面の高さが床面から44センチ。従来の優先席から3-10センチ高くした。従来は背面にかけて座面が傾斜していたが、新優先席は水平にした。座面形状はフラットだったものを波形状のものに刷新し、腰・太もも周りをサポートするようにした。
また新たなデザインを取り入れ視認性を高めた。従来は白地のカバーにグレー表示で、周囲と同化しやすく目立ちにくいデザインだったが、刷新後はクリーム色に青色の表示を採用し、目立つようにした。このほか付加機能として、アームレスト、杖ホルダー、充電設備も備える。
導入場所はT1国際線・国内線の搭乗待合エリア。1脚で3人が着席でき、59脚配置する。18日に導入した国際線には34脚、国内線は23日から25脚導入する。杖ホルダーは24日以降、充電設備は24日以降順次使えるようにする。また、各搭乗ゲート付近には、ピクトデザインを刷新した従来型の優先席も継続して設置する。
中部国際空港会社によると、従来の優先席は表示が目立ちにくく、健常者が占有してしまうケースがあったという。また深く腰掛ける設計のため、立ち上がるのが困難なことも課題だった。これらの課題の解決へ、学識経験者・有識者、障害などの当事者団体、空港島内事業者で構成する「UD懇談会」を2024年3月に立ち上げた。

中部空港が導入したUD採用の新優先席(中部国際空港会社提供)
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