ボーイングは現地時間5月9日、欧州LCC最大手のライアンエア(RYR/FR)から737-10(737 MAX 10)を最大300機受注したと発表した。737 MAXのうち胴体がもっとも長い超長胴型で、確定発注とオプション(仮発注)が150機ずつ。ライアンエアの契約では過去最大規模になるという。2027年から2033年にかけて受領する。
ライアンエアが導入する737-10の座席数は1クラス228席で、同社が導入を始めている737-8-200(737 MAX 200)の同197席と比べて31席(15.7%)多く、1便当たりの運航コストを低減できる。ライアンエアによると、既存の737NG(次世代737)の737-800(1クラス189席)と比べると、座席数は21%多く、燃費は20%改善し、静粛性は50%向上するという。
今回の発注のうち、150機は既存機737-800の置き換えに充て、残り150機は成長投資とし、2034年には年間3億人強の乗客を輸送できる生産規模を計画している。これにより、ライアンエアの機材は737-8-200と737-10の2機種の737 MAXになる。
737 MAXファミリーのうち、胴体長がもっとも長い「最大の737 MAX」となる737-10は、メーカー標準の座席数が1クラス230席。日本の航空会社では、スカイマーク(SKY/BC、9204)が737-10を2機確定発注しており、2026年度から2027年度の受領を計画する。
737-10はボーイングがFAA(米国連邦航空局)から「型式証明」(TC)を取得する時期が今年後半にずれ込む見通し。機体の製造国が安全性を証明するもので、当初は2022年12月を期限とし、就航は計画から3年延期した今年2023年を目指していたが、コックピット内の警告システムを新設するか否かで、パイロットのライセンスを共通化できなくなる可能性があったが、米議会が警告システムの搭載を免除する改正法案を2022年末に可決したことで回避した。
737 MAXの標準型は、737-800の後継となる2016年1月に初飛行した737-8(1クラス189席)で、もっとも胴体が短い機体が737-700の後継機737-7(同172席)。737-8の座席数をLCC向けに増やした737-8-200(737 MAX 200、同210席)、737-900/-900ERの後継737-9(737 MAX 9、同220席)もそろえる。胴体長は、737-7が35.56メートル、737-8が39.52メートル、737-9が42.16メートルで、737-10は43.8メートルと、もっとも短い737-7と比べて8メートル以上長い。
ライアンエアとボーイングは、過去にも737-10の契約交渉を行っていたものの、価格面の合意が得られず、2021年9月に交渉が不成立になったとライアンエア側が発表していた。
関連リンク
RyanAir
Boeing
ボーイング・ジャパン
2021年に交渉不成立
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ライアンエアの737 MAX
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