新型コロナで退役機年5%以上に ボーイング予測、貨物堅調も777BCF計画なし

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 ボーイングは2月26日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による世界的な航空需要減少に伴い、1年間に退役する航空機数の割合が通常の年3%程度から5%以上に上昇するとの見通しを明らかにした。世界の航空需要回復については、2039年まで需要は堅調に推移するものの、国際線の需要回復が見込まれる2024年までは難しいかじ取りを迫られるとの見方を示した。

新型コロナウイルス感染症の影響で退役機の比率が上昇すると予測するボーイング=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ボーイングの民間航空機部門で、インドと東南アジア、アジア太平洋地域のマーケティングを担当するマネージング・ディレクター、デビッド・ショルティ氏は、26日にオンラインで会見を開き、「2020年から2039年までの20年間で、旅客と貨物の輸送量、機材数の成長率を見ると堅調だが、2020年から2024年はチャレンジングな期間だ」と述べた。その上で、「各国の国内、地域、長距離の順で回復するだろう」との見通しを示した。

 これにより、機材の退役が世界的に進むと予測。ショルティ氏は「通常は年2-3%の機材が退役するが、2008年の世界金融危機(リーマンショック)後は5年平均で見ると年4%まで上昇し、2001年の9.11や2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)後は、年4-5%だった」と説明し、「現在はより多くの機体が駐機されているので、年5%を上回ると予測している」と語った。

 新型コロナの影響で多くの国際線が運休となる中、貨物機や旅客機に貨物のみ搭載する貨物専用便の需要が堅調。旅客機では777や787が多く投入されている。貨物機の需要も、2019年は全世界で2010機だったが、2039年には62%増の3260機まで増えると見込む。

 ボーイングは新造の貨物機のほか、旅客機の767やを貨物機に転用する改修する中型機767-300BCF(ボーイング・コンバーテッド・フレーター)や小型機737-800BCFなどの改修プログラムを用意しているが、世界的に退役が進む大型機777のBCFは現時点で存在しない。

 一方、GE(ゼネラル・エレクトリック)のグループ会社で航空機リースと金融を扱うGECAS(GEキャピタル・アビエーション)とIAI(イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ)が、777-300ERを貨物機に転用するプロジェクトを進めている。ショルティ氏は777のBCFについて、「市場で需要があれば検討する」と述べるにとどめた。

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