ボーイング, 官公庁, 機体 — 2020年2月27日 08:34 JST

FAA、737 MAXの落雷対策指示 エンジン2基とも停止する可能性

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 FAA(米国連邦航空局)は現地時間2月25日、ボーイング737 MAXについてエンジンが2基とも停止するおそれがある落雷やHIRF(高強度放射電磁界)に対する安全対策を指示した。機体の安全性を確保する改修案をまとめた「耐空性改善命令(AD)」を近く発行する。

FAAが新たに落雷対策を指示した737 MAX=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 4機種ある737 MAXのうち、対象は納入開始済みの737 MAX 8と737 MAX 9。配線を保護するシールドの一部として機能する機体のパネルが、落雷やHIRFの電磁効果の影響を受けやすいとし、2基あるエンジンの推力制御が失われて2基とも停止する可能性があるという。

 対象となる部位は、エンジンナセルとストラットの上部にある特定の外部フェアリングパネル(サムネイルフェアリングとミッドストラットフェアリングパネル)。検査には1回あたり425ドル(約4万6900円)と5時間を要し、改修が必要な場合は最大595ドルと7時間の作業が生じると見込んでいる。

 対象機数は、米国で登録された737 MAXのうち128機になると推定。ボーイングが2019年12月11日付で発効した改修手順を示す「サービスブリテン(SB)」の737-54-1056では、該当する機体を製造管理番号「Line Number(LN、ラインナンバー)」で特定していたが、FAAは全機に対象を広げた。

 2件の墜落事故が起きた737 MAXは、同機で新たに採用した失速防止システム「MCAS(操縦特性向上システム)」が墜落原因となりシステム改修を進めているが、落雷対策が加わったことで今年半ばの運航再開は厳しくなる可能性がある。

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