エアバス, エアライン, 機体 — 2019年11月1日 17:13 JST

ジェットスターのA321LR、1クラス238席 20年夏就航、高需要路線に

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 ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)は11月1日、3機導入するエアバスA321LRについて、座席などの仕様を発表した。エコノミーのみの1クラス238席で、中距離国際線への参入を見越し、各座席にUSBポートも設置する。就航は2020年夏ごろを見込み、2021年夏ごろまでに3機がそろう見通し。

A321LRの仕様を発表するジェットスター・ジャパンの片岡社長=19年11月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
塗装変更で重量軽減
高需要路線に投入で座席供給増
後継機「A320neoかA321neoで検討」

塗装変更で重量軽減

ジェットスター・ジャパンのA321LR模型=19年11月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 A321LRは、新型エンジンで燃費を向上させたA321neoの航続距離延長型。最大離陸重量(MTOW)を97トンに引き上げ、3個目の中央燃料タンクを追加することで航続距離を約7408キロ(4000海里)に延長できるようになる。

 ジェットスターの場合、MTOWは93.5トン。航続距離は約5500キロとなる。エンジンはCFMインターナショナル製「LEAP-1A」を搭載する。また、機体塗装の変更やカートの軽量化により、機体重量をおよそ85キロ削減。燃費効率を向上させる。

 座席数は1クラス238席で、現行機のA320従来型(A320ceo、1クラス180席)と比較すると58席増加。シートは独レカロのBL3710を導入する。シートピッチは従来とほぼ同様の28インチ(71.12センチ)から39インチとなる。各シートにはUSBポートを設置する。このほか、将来的な中距離国際線への参入を視野に入れ、旅客各自の端末でコンテンツを観られる機内エンターテインメント(IFE)の導入も検討する。

高需要路線に投入で座席供給増

 都内で会見したジェットスター・ジャパンの片岡優社長は、就航時期について「東京五輪が始まる2020年夏ごろを計画している」とした。就航路線は拠点とする成田空港を発着する高需要の国内幹線のほか、既存の国際線を予定する。国内線の投入路線について片岡社長は「札幌や福岡、那覇など、通年で高需要の路線に投入する。ロードファクター(座席利用率、L/F)が高い路線で、座席供給量を増やす」と述べた。

 ジェットスターのA321LRは航続距離が5500キロで、3000キロ飛行できる既存のA320ceoと比較し、ほぼ倍増する。東南アジア全域と中国本土のほぼ全域が圏内となるほか、インド東部にも就航できるようになる。片岡社長は新たな路線計画について、決定してないとしつつ「東南アジアの主要都市や人気リゾートなどがカバーできる、と考えている」と述べ、将来的な乗り入れに含みを持たせた。

 A321LRの初号機を2020年夏ごろをめどに受領し、運航を開始する。導入を計画する3機は、1年以内で完納する見通し。片岡社長によると、製造元のエアバスで受注残が多いため、ジェットスターへの納入がやや遅れることも予想しているという。

後継機「A320neoかA321neoで検討」

 ジェットスターの保有機材は現在A320ceoのみで、今年3月から25機体制を構築している。今後2023年度までに、機材数を現在の10機増となる35機体制を計画する。このうち3機はA321LRで、残り7機は今後選定を進める。

 後継機材について、片岡社長は「A320neoかA321neoを軸に検討する」と述べた。A321neoはA321LRも選択肢に入る、とした。

 A321LRの日本での導入は、ジェットスターのほかピーチ・アビエーション(APJ/MM)も計画。2020年度から2機の導入を予定し、エンジンはジェットスター同様、LEAP-1Aを選定している。

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A321LR(ジェットスター・ジャパン)

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