エアバス, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2018年11月27日 19:59 JST

ジェットスター・ジャパン、A321LR導入 中距離国際線検討

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 ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)は11月27日、エアバスA321LRを2020年から3機導入すると発表した。東南アジアなど中距離国際線への進出を検討するほか、ロードファクター(座席利用率)が高い既存の国内線や国際線にも投入する。

A321LRの導入を発表するジェットスター・ジャパンの片岡社長=18年11月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
東京五輪前に就航
A321LR「コストモデル違う」

東京五輪前に就航

 A321LRは、新型エンジンで燃費を向上させたA321neoの航続距離延長型で、単通路機では世界最長の航続距離を誇る。最大離陸重量(MTOW)を97トンに引き上げ、3個目の中央燃料タンクを追加することで航続距離を約7408キロ(4000海里)、フライトタイムでは最大9時間に延長したもので、日本からは豪州やインドまでノンストップで飛ぶことができる。

ジェットスター・ジャパンが導入するA321LR(同社資料から)

ジェットスター・ジャパンのA320=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 座席数は最大244席で、大型のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)の採用により、手荷物の収納スペースが既存のA321と比べて最大60%拡大。エアバスでは、静粛性の高さもアピールしている。

 すでにジェットスター・グループが、2020年から2022年にかけて18機受領すると今年2月22日に発表。薄型の新シートを採用することで、座席数は232席となる見通し。ジェットスター・ジャパンは、今回発表した3機がこの18機に含まれるかについては、コメントを控えた。

 ジェットスター・ジャパンは現在、A320を24機保有しており、座席数は1クラス180席。国内線19路線と国際線9路線の計28路線を運航している。2019年春には、25機目のA320を受領する。A321LRの初号機就航は、東京オリンピック開催前の2020年夏ごろになる見通し。

A321LR「コストモデル違う」

 機材が2機種になることで、A321LRは国内線や国際線の高需要路線、A320は地方路線といった使い分けができるようになる。ジェットスター・ジャパンの片岡優社長は、「A321LRは高需要路線に特化して活用し、A320で九州・四国路線や沖縄路線の開拓、東北進出を進めたい。成田から山形県の庄内空港への就航を積極的に検討している」と述べた。

A321LRの模型を手にするジェットスター・ジャパンの片岡優社長(中央右)とエアバス・ジャパンのステファン・ジヌー社長ら=18年11月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

インドネシア・エアアジアXのA330-300=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 成田から北は現在、札幌(新千歳)のみ就航している。機材増加により、東北・北海道への路線拡大や、2019年3月30日に就航する沖縄県の下地島空港を活用した沖縄路線強化の可能性を探る。また、現在は成田と関西、中部の3空港を、整備や夜間駐機ができ、乗員基地がある「拠点空港」としているが、第4の国内拠点を検討する。

 座席数が増えることで、A321LRを2クラス化する可能性について、片岡社長は「どういう仕様にするかはまだ決まっていない」と述べるにとどめた。

 一方、LCCによる日本発着の中距離国際線は、このところ撤退が目立っている。インドネシア・エアアジアX(INX/XT)がデンパサール(バリ島)-成田線を2019年1月に、スクート(TGW/TR)が関西-ホノルル線を同年6月から、それぞれ運休する。

スクートの787-8=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 機材はインドネシア・エアアジアXがA330-300(2クラス377席:ビジネス12席、エコノミー365席)、スクートがボーイング787-8型機(2クラス329席:ビジネス18席、エコノミー311席)と、いずれも通路が2本ある「ワイドボディー機」を投入している。

 片岡社長は中距離国際線市場について、「レジャー路線を中心に検討するが、運休するLCCとは使用機材が違う。A321LRは既存機より燃費が20%よく、キャパシティーもワイドボディー機より小さいので、コストモデルが違う」と、単通路機であるA321LRであれば、勝算があるとの見方を示した。

 国内でA321LRを導入する航空会社は、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)に続き2社目。ピーチは2020年度に2機導入し、片道7時間程度となる東南アジア方面の中距離国際線に参入するほか、高需要の国内線にも投入する計画を進めている。

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