エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2026年3月4日 11:00 JST

世界最古の777-300ER、JAL 2号機が売却先へ 雨脚強まる深夜の羽田から

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 日本航空(JAL/JL、9201)が導入したボーイング777-300ER型機の2号機(MSN32430、LN423、登録記号N3243D、元JA732J)が3月4日午前0時すぎ、羽田空港を離陸し日本を離れた。世界でもっとも古い777-300ERで、JALの同型機では4番目の退役となり、2025年11月まで約21年運航された。ほかの退役機と同様、鶴丸ロゴなどJAL塗装を落とした「白塗り」で、時を追うごとに雨脚が強くなる羽田から飛び立ち、米アリゾナ州のツーソン国際空港へ売却先のパイロットの操縦で向かった。

整備士に見送られて羽田空港を出発する元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2号機は、ボーイングが777-300ERを開発した際の飛行試験初号機(N5017V)で、世界各国の航空会社などへ833機引き渡された同型機のうち、もっとも古い機体。エンジンはGE製GE90-115Bを2基搭載している。ボーイングによる飛行試験後、2004年7月1日にJALへ引き渡され、同月10日の成田発北京行きJL781便が初便となった。また、同2号機(N5016R)がJALの777-300ERとしては初号機(JA731J)となり、1カ月前の6月に納入された。

 ラストフライトは2025年11月20日のシドニー発羽田行きJL52便。総飛行時間は8万9860時間39分、総飛行サイクルは1万1358回で、JALの777-300ERでは4番目の退役だった。退役時の座席数は「W84」仕様の4クラス244席(ファーストクラス8席、ビジネスクラス49席、プレミアムエコノミークラス40席、エコノミークラス147席)で、2013年1月に就航した「SKY SUITE 777(スカイスイート 777)」仕様の5機目として改修された。

 売却先へ向かうフェリーフライトは、羽田を午前0時15分に214番スポットから出発し、C滑走路(RWY34R)から同31分に離陸。ツーソンには現地時間同日午前8時の到着を予定している。出発時の羽田は日付が変わる頃から雨脚が次第に強まった。通常、旅客機の乗降は進行方向左側のドアを使用するが、この日は風向きなどを考慮した結果、右側最前方「R1」ドアを使用することになった。

売却整備が進むJALの777-300ER 2号機JA732Jのコックピット=26年2月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

売却整備が進むJALの777-300ER 2号機JA732Jのファーストクラス=26年2月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

売却整備が進むJALの777-300ER 2号機JA732Jのエコノミークラス=26年2月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALは777-300ERを13機導入し、2号機の退役で現在は残り9機。ファーストクラスのシートなど、パーツの中には入手が難しいものや特注品もあることから、運航中の機体の整備に使うパーツとして、ファーストクラスの一部座席の個人用モニターなどが売却整備の際に取り外して保管されることになったほか、エンジン2基とランディングギアの交換などが行われた。また、シートのうち、エコノミークラスはほとんどが外され、がらんとした機内になった。

羽田空港で(奥から)787-9 JA876J、767-300ER JA601Jと並び出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

元JAL 777-300ER JA732Jの売却を担当したJALの沓澤拓也さん(左)とフェリーフライトの手配を担当したJALビジネスアビエーションの土屋峻彦さん(中央)、今村沙也加さん=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JA732Jの売却手続きを担当したJAL調達本部 航空機材・整備調達部 整備グループの沓澤拓也さんは、これまで3回の退役も携わってきたが、前回のJA735Jに続いて主担当として関係先との調整などを進めた。777-300ERとしては4機目の退役となったことから、準備や売却先との調整もスムーズに進んだという。また、ボーイングの試験機としても活躍した機体であることから、当時を知る社員を中心に懐かしんだり、別れを惜しむ声が聞かれたそうだ。

 また、従来はJAL機が退役する際、フェリーフライトの手配は社外に頼んでいたが、新型コロナ以降はグループ会社のJALビジネスアビエーションが受託。普段は要人機やビジネスジェットの運航手配などを手掛けているが、今回は空港事業部の土屋峻彦さんがJA735Jに続いて担当し、今村沙也加さんとともにフェリーフライトを手配した。

 JALは777-300ERを13機導入。初の退役は4号機(JA734J→N3243P)で、2024年9月19日に日本を離れた。2番目となった初号機(JA731J→N3243F)は2025年8月5日に、3番目の5号機(JA735J→N3243Q)は11月11日に、それぞれ羽田を離陸して売却先へ向かった。JA732Jの退役で残り9機となり、後継機エアバスA350-1000型機(4クラス239席)への置き換えが進む。

 A350-1000は発注済み13機のうち11号機(JA11WJ)が2月28日に到着して11機となったが、10号機(JA10WJ)がニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)に駐機中、他社機が同機に接触したことで運用を離脱。11号機が就航すると10機体制になる。JALの斎藤祐二副社長によると、777-300ERの退役はA350-1000の運航状況にはリンクさせず、機材の受領状況などを見ながら退役させていくという。

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732JのL1ドア=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732JのL2ドア=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732Jのノーズギア=26年3月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732JのエンジンGE90-115Bを点検する整備士=26年3月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732JのR1ドア=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港で出発を待つ元JAL 777-300ER JA732J=26年3月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港を出発する元JAL 777-300ER JA732J=26年3月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港を出発する元JAL 777-300ER JA732J=26年3月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港を出発する元JAL 777-300ER JA732J=26年3月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港の214番スポットから出発した元JAL 777-300ER JA732J=26年3月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港を出発する元JAL 777-300ER JA732J=26年3月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のC滑走路へ向かう元JAL 777-300ER JA732J=26年3月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
日本航空

4番目はJA732J
JAL、777-300ER退役4機目はワンワールド塗装機 シドニー発JL52便11/20羽田着(25年11月19日)

3番目はJA735J
JAL 777-300ER、退役3機目が離日 3千枚の紙マニュアル手配に苦労(25年11月11日)
JAL 777-300ER、3機目が退役 サンフランシスコから羽田へ最終便(25年9月9日)
JAL 777-300ER、退役3機目が羽田発最終便 サンフランシスコへ(25年9月8日)

JA731J
JAL、777-300ER初号機が離日「社員みんなが愛していた」(25年8月5日)
JAL 777-300ER元JA731J、ホノルル経由でロズウェル着(25年8月6日)
JAL、777-300ER初号機が退役 破綻後の新仕様改修も1番手、元ボーイング試験機(25年5月27日)

初の退役機JA734J
JAL初の777-300ER退役機、白塗りで4号機離日 A350-1000へ世代交代本格化(24年9月20日)
「未来が過去になっていく瞬間」JAL 777-300ER、きれいな姿で初退役 4号機がラストフライト(24年8月21日)
「客室乗務員として成長させてくれた」定年迎えるJAL親泊チーフから見た777-300ER(24年8月21日)
ジャンボより長い胴体意識し操縦 特集・JAL坂本777運航乗員部長に聞く777-300ER初退役(24年8月20日)
JAL 777-300ER、初退役前に社員が出迎え 機材繰りで20日が4号機ラスト(24年8月19日)

777-300ERの動画(YouTube Aviation Wireチャンネル
JAL初の777-300ER退役機 元JA734Jが離日
JAL 777-300ER 新インテリア初号機の機内(JA738J)

JA701Jはビクタービルをローパスしてロサンゼルスへ
JALの777-200ER、初号機が離日 ”飛行機の墓場”をローパス(23年5月17日)
JALの777-200ER、初号機がビクタービル到着 20年10カ月の歴史に幕(23年5月19日)

JA701の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル
【4K】”飛行機の墓場”をJAL 777-200ER初号機JA701Jがローパス【Victorville】
【4K】強風のモハベ空港に並ぶJAL 777【飛行機の墓場】