成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は1月20日、航空会社など14者が参加する「成田空港新貨物地区検討協議会」を設立し、初会合を開いた。B滑走路の延伸やC滑走路の新設を柱に「第2の開港」と位置づけた「新しい成田空港」構想に基づき、2030年代初頭の供用開始を目指す新貨物地区の具体的な整備計画の策定を進める。

成田空港新貨物地区検討協議会の初会合で挨拶するNAAの神﨑俊明協議会会長=26年1月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田の既存貨物施設は、1978年の開港から48年が経過し、老朽化が進む。また、現在は施設が空港内の北部、南部、整備地区の3カ所に分散しており、人手不足の中で配送や労働力の重複が大きな課題となっている。NAAが旅客ターミナルを1つに集約する「ワンターミナル」化を進める中、物流機能も圏央道に沿った空港東側の約200ヘクタールの用地(現在の約2倍)に集約する。最大の特徴は、航空会社の貨物上屋とフォワーダー(貨物代理店)の施設を「ゼロ距離」で配置し、一体運用が可能な環境を目指す。
成田単体の再構築と並んで重要視するのが、羽田空港との一体運用。現在、羽田の輸出貨物は約8割が他空港からの転送貨物で占められ、そのうち9割以上を成田からの転送が占める。生鮮品などを除き、一般貨物の通関や航空コンテナへの積み付けといった機能の多くは成田が担い、トラックで羽田へ運び込む「首都圏のバックヤード」としての役割を果たしている。現在、両空港間では大型トラックによる輸送が1日約230台発生しており、新地区では圏央道などの活用も含めてこの機能を強化し、首都圏空港としての効率的な運用を目指す。

「『新しい成田空港』構想」のとりまとめで示した将来的なターミナル配置イメージ(NAAの資料から)
新地区のオペレーションでは、ハード・ソフト両面での高度化を図る。施設間を往来するトラックは現在1日約1800往復に及ぶが、自動搬送設備(BHS/CHS)による接続でこの「横持ち」輸送を事実上解消する。また、これまで各社で異なっていた貨物情報の規格共通化など、オペレーションの根幹部分についても議論を深度化させる。
今後の戦略として、日本発着だけでなく「アジア-北米間」のトランジット貨物の取り込みを強化する。上海や北京などアジア各地の貨物を成田で混載し直すことで、輸送ロットの大型化による運賃競争力を高める。協議会会長を務めるNAAの神﨑俊明・取締役営業部門長は「トータルの扱い量があって初めてエアラインのネットワークを維持でき、国内荷主の利便性にも直結する」と述べ、貨物ハブ化への決意を示した。
協議会は今後、月1-2回程度のペースで実務者によるワーキンググループを開催。NAAは年末までに意見を集約し、2027年8月に策定する新貨物地区のマスタープランに反映させる。
協議会には14の企業・団体が参加。航空会社は全日本空輸(ANA/NH)と日本貨物航空(NCA/KZ)、日本航空(JAL/JL、9201)の3社とCARGO TERMINAL OPERATORS’ COUNCIL(CTOC)、上屋事業者はANAカーゴと国際空港上屋(IACT)、JALカーゴサービスの3社、フォワーダーは近鉄エクスプレスと日本通運、郵船ロジスティクスの3社、運送事業者は航空集配サービスと佐川急便、西濃運輸、ヤマト運輸の4社が名を連ねる。NAAが事務局を務め、オブザーバーとして財務省東京税関も出席する。
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