京成電鉄(9009)は5月21日、押上-成田空港間を走る新型の有料特急を2028年度に導入すると発表した。現在は京成上野-成田空港間に「スカイライナー」を投入しているが、新たな経路で空港アクセスの利便性向上を図る。

機能強化を進める成田空港=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
京成は成田スカイアクセス線を2010年7月に開業。都心から成田空港へのアクセスを向上させた。今回の新型車両は成田空港の機能強化に対応するもので、都心と空港を結ぶ輸送力増強とサービス向上を目指す。現在は車両設計に着手した段階で、詳細は今後明らかにするという。
成田空港では第3滑走路(C滑走路)の建設が進んでおり、2029年3月末に供用開始を予定。その後は現在3つあるターミナルを新たなターミナル1つに集約する「ワンターミナル」とする計画で、候補地は現在の第2ターミナル南側としている。
第3滑走路の供用開始後は、2030年代前半から中ごろに計画している「ステップ1」、2030年代中ごろ以降の「ステップ2」、最終段階となる2040年代の「ステップ3」と3段階に分けて、新ターミナルや周辺を整備していく。新ターミナルの北側半分が供用開始となり新駅が開業するステップ1で、現在の第1ターミナルにある成田空港駅を閉鎖。新ターミナルの建設が進んだステップ2で、第2ターミナルの空港第2ビル駅も閉鎖する計画となっている。

29年3月末の供用開始を目指す成田空港のB滑走路延伸・C滑走路新設計画(NAAの資料から)
成田空港には京成とJR東日本(東日本旅客鉄道、9020)の2社が乗り入れているが、現在の鉄道施設は、建設中に計画中止となった成田新幹線のものを転用しているため、線路は両社が1線ずつ使用し、成田市土屋から空港までの約9キロが単線で、増発には複線化が不可欠になっている。
空港を運営する成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は、「(有料の)特急だけでなく(アクセス特急など)通勤・通学のほうも混んでおり、悠長なことは言っていられない」と、混雑が慢性化していることから、早期に対策を講じていく必要性を指摘。一方で、「都心寄りのところも、かなり線路容量に近い形で使われており、工夫しないと劇的には増えないだろう。いくつかあるポイントの一つとして、複線化や駅の構造の見直しがある」と、空港周辺の複線化などだけでは抜本的な解決は難しいとの考えを示している。
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