成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は4月4日午後、中野洋昌国土交通大臣にB滑走路の延伸とC滑走路の新設について、5月に本格着工すると説明した。2029年3月31日の供用開始を予定している。運用時間も延長され、午前5時から翌日午前0時30分(現在は午前6時から翌日午前0時)までになる。

29年3月末の供用開始を目指す成田空港のB滑走路延伸・C滑走路新設計画(NAAの資料から)

国交省で取材に応じるNAAの田村社長=25年4月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港には現在2本の滑走路があり、第1ターミナル側のA滑走路(RWY16R/34L)は長さ4000メートル、第2ターミナル側のB滑走路(RWY16L/34R)は2500メートル。発着回数の拡大など「成田空港の更なる機能強化」の一環として、B滑走路を1000メートル延伸して3500メートルとし、新たに3500メートルのC滑走路をB滑走路南側に整備する。
これにより、年間発着回数が現在の30万回から20万回増えて50万回に拡大。2020年1月31日に国交省航空局(JCAB)がNAAの計画を許可した際、完成は2028年度末の2029年3月31日としており、大臣にも計画通りの日程が報告された。
用地確保の状況は、今年3月末時点で必要な面積の83%を確保。必要な面積は1099ヘクタールで、このうち743ヘクタールが民有地となっており、約550ヘクタールを契約済み。中野国交相は田村社長に今年度末となる2026年3月末までの用地確保や、航空局との連携、空港周辺自治体の協力を得て、用地確保の具体的対策の実施を指示した。
大臣報告後、取材に応じた田村社長は「成田空港が作られた経緯や歴史を考えれば、数年の間にここまで確保できたのは、地域・地権者のご協力があってのこと」と空港周辺地域や地権者に謝意を示した。
供用開始後については「できるだけ幅広い時間帯に、いろんな需要を持っているエアラインに多く集まっていただき、ハブ的に使っていただくのが目標」と述べ、ネットワーク拡充に向けて航空会社と協議を進めていく。
「新しい滑走路ができることで、BとCを1本の滑走路のように運用できる。風向きにより、片方を離陸専用、もう片方を着陸専用にすることで、(南風と北風の)いずれの風向きであってもターミナルに近いところから出入りできるようになり、地上走行時間が短くなる。お客さまにとっても、エアラインにとっても利用しやすくなると思う」と語った。
これにより、夕方など混雑時間帯に常態化している遅延の解消をはじめ、定時性の向上につなげていく。現在は午前6時から翌日午前0時までの運用時間も延長し、C滑走路供用開始とともに午前5時から翌日午前0時30分までになる。
5月の本格着工では、B滑走路の延伸部分は用地造成、新設となるC滑走路は地盤改良工事から始めるという。
C滑走路の供用開始後は、現在3つあるターミナルを新たに建設するターミナル1つに集約する「ワンターミナル」とする計画で、候補地は現在の第2ターミナル南側としている。また、成田空港へ乗り入れているJR東日本(東日本旅客鉄道、9020)と京成電鉄(9009)の線路が一部単線であるため、新駅開業に加えて複線化なども両社へ働きかけていく。
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