MRJ, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2017年1月23日 15:29 JST

MRJ、初号機納入2020年半ばに 5度目の延期

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 三菱重工業(7011)の宮永俊一社長は1月23日、子会社の三菱航空機が開発を進めるリージョナルジェット機「MRJ」の量産初号機の納入時期について、2年延期となる2020年半ばにすると正式発表した。

*会見詳報はこちら

MRJの量産初号機の納期延期を発表する三菱重工の宮永社長=17年1月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 MRJの量産初号機の納期延期は、今回で5回目。当初は2013年だったが、その後2014年4-6月期、2015年度の半ば以降、2017年4-6月期とずれ込み、直近では2015年12月24日に、2018年中ごろとする納期が示されていた。

 MRJはこれまでに、全日本空輸(ANA/NH)などを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)や日本航空(JAL/JL、9201)など、7社から計427機を受注している。内訳は、確定受注が約半数の233機で、残りはキャンセル可能なオプション契約が170機、購入権契約が24機となっている。

 このうち日本の航空会社によるオーダーは、ローンチカスタマーであるANAHDが確定発注15機とオプション10機の計25機、JALが確定発注32機。ANAHDは2018年から、JALは2021年から受領を予定していた。宮永社長は、「検討に検討を重ねた結果が2020年」と初号機の納期について説明した。

 MRJの納期が遅れた影響で、ANAHDは2016年6月に加ボンバルディア社のターボプロップ(プロペラ)機DHC-8-Q400型機(74席)を、3機追加発注。2017年度に全機受領し、MRJで運航予定だった路線に投入する。

 宮永社長は2016年11月の社長直轄体制へ移行後、外国人専門家の活用を拡大し、スケジュールの見直しを進めてきたと説明。一部装備品の配置などを変更し、電気配線全体を最新の安全性適合基準を満たす設計に変更したと述べた。

 MRJのチーフエンジニアである三菱航空機の岸信夫副社長は、「外国人専門家から機器の配置を見直した方が良いだろうというアドバイスを受けた。機器の配置が決まった後に配線を決定するのが直接的な遅れだ」と補足した。

*15:50 6段落目と7段落目を追記しました。
*会見詳報はこちら

関連リンク
三菱航空機

三菱航空機の社長交代
三菱航空機、新社長に水谷常務 三菱重工・宮永社長「グループ全体でMRJ推進」(17年2月2日)

納入延期5度目の会見詳報
「素材技術で差別化」特集・岐路に立つMRJ、問われる総合力(17年1月24日)

競合エンブラエルの動き
大きな手荷物収納棚でMRJ対抗 写真特集・エンブラエルE190-E2の機内(16年8月5日)
「サポート体制も強み」特集・エンブラエル幹部が語るMRJ最大のライバルE190-E2(16年5月29日)

MRJを巡る動き
MRJ量産初号機の試験機転用報道、三菱航空機「発表段階ではない」(16年12月12日)
三菱重工、MRJの社長直轄委員会を設置 納期変更せず(16年11月30日)
米エアロリース、MRJ正式契約 最大20機、18年納入(16年8月31日)
MRJ量産初号機、最終組立へ 胴体出荷(16年7月1日)
ANA、Q400を3機追加発注 MRJ遅延で(16年6月29日)
三菱航空機、MRJの最終組立工場公開 見学通路も設置(16年3月10日)
MRJ、米リース会社から20機受注で基本合意 18年納入(16年2月16日)
岸副社長「経験不足」特集・MRJはなぜ納入遅れになるのか(15年12月25日)

米国拠点関連
MRJ、米国拠点で見学会 関係者170人招待(16年12月28日)
MRJ試験2号機、米国着 3機体制に(16年12月20日)
MRJ、4号機が米国到着 飛行試験2機体制に(16年11月21日)
MRJ、米国へ到着 フェリーフライト成功(16年9月29日)
MRJの米国拠点、開所式中止 フェリーフライトは北回り継続に(16年9月1日)

ファンボロー関連
MRJ、8月中に米国試験へ 特集・森本社長インタビュー(16年7月19日)
MRJ、機内ネット接続対応へ 森本社長、競合と差別化(16年7月16日)
MRJ、欧リース会社から20機受注へ 20年納入で基本合意(16年7月11日)