JR西日本(西日本旅客鉄道、9021)は4月30日、日本航空(JAL/JL、9201)と全日本空輸(ANA/NH)との間で、それぞれ「西日本エリアの社会課題解決に向けた連携強化」に関する協定を締結した。鉄道と航空を組み合わせ、インバウンド(訪日客)の地方誘客や二地域居住の推進などに取り組む。

JR西日本と連携するANAとJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JR西日本とJAL、ANAは、それぞれの連携を「移動体験の共創エコシステム」と位置づける。鉄道と航空のシームレスな予約による「顧客体験価値の向上」、広域観光ルートの構築による「交流人口の拡大」、二地域居住の推進による「関係人口の拡大」を3本柱とする。
—-記事の概要—
・JALと和歌山モデル事業
・ANAは予約連携強化
JALと和歌山モデル事業
JALとの連携では、和歌山エリアで訪日客向け旅行商品のモデル事業を展開する。JR西日本の「WEST QR 関西・南紀エリアパス」と、JALの羽田-南紀白浜線の航空券をセットにした旅行商品を、6月1日以降順次、海外の主な旅行会社で販売する。

JR西日本とJALの共創エコシステム(JAL提供)

JR西日本とJALによる二地域居住(JAL提供)
「WEST QR 関西・南紀エリアパス」は、きのくに線と京阪神地区の指定エリアが自由周遊区間となる。JALの羽田-南紀白浜線の航空券と同時に購入する場合に限り購入でき、普通・快速列車の自由席に乗降できる。特急や指定席を利用する場合は、別途料金券が必要となる。有効期間は3日間で、専用サイトに表示されるQRコードを、QRコードリーダー付き改札機にかざして乗車する。
10月からは、地域の魅力発信に向け、特急「くろしお5号」の一部車両を「JAL くろしお」として販売する。対象は白浜-新宮間の6号車で、運行日を限定して設定する。車内では、JALの客室乗務員が地元案内や食体験などの特別サービスを提供する。
JALとの連携では、二地域居住の推進にも取り組む。2026年度に新たな二地域居住プログラム「西日本、二地域暮らし(仮称)」を実施する予定で、WESTERポイントとJALマイレージを活用し、二地域居住者の移動費負担軽減を図る。自治体や地域関係者と検討を進め、西日本エリアでの二地域居住と関係人口拡大を推進する。
ANAは予約連携強化
ANAとの連携では、2030年代をめどに、鉄道と航空のシームレスな予約の実現を目指す。国内で展開しているANA MaaS「旅 CUBE」とJR西日本のインターネット予約サービス「e5489」の連携実績を基に、海外向けのANA MaaS「Travel CUBE」とJR西日本の海外向け予約サービス「JR-WEST ONLINE TRAIN RESERVATION」の連携を図る。

JR西日本とANAのMaaS連携深化(両社資料から)
交流人口の拡大では、ANA国際線を利用する訪日客に対し、国内線と鉄道を併用した広域観光ルートを提案する。両社の海外向け顧客接点を活用し、JR西日本レールパスとANA国内線を組み合わせた販売を進めるほか、官公庁やDMO(観光地域づくり法人)のインバウンド誘客事業へ共同参画する。
ANAとの二地域居住の取り組みでは、鉄道と航空による新たな施策について、自治体や地域関係者と検討を進める。ANAは2025年10月に、二地域居住を支援するポータルサイト「ANAの二地域居住 BLUE SKY LIFE」を開設。移動費を抑えながら地域を体験できる「二地域居住モニタープログラム」などを提供している。
JRとJR東日本
・JALとJR東日本、東北6市町で「二地域居住」実証事業 新幹線利用でマイル付与(26年4月2日)
・JR東日本とJAL、鉄道×航空「立体型観光」で人流創出 地方創生へ連携協定(26年2月6日)
・JALとJR東、生鮮品を海外へスピード輸送 新幹線・空輸で大幅短縮(25年12月25日)
・JALのCA、成田エクスプレスで“機内サービス”JR東日本系旅行会社が企画(24年12月21日)
JAL・ANA決算
・JAL、27年3月期純利益20%減1100億円予想 26年3月期はEBIT最高益
(26年4月30日)
・ANA、27年3月期純利益43%減960億円予想 26年3月期は過去最高益(26年5月1日)
