全日本空輸(ANA/NH)の新社長に就任する平澤寿一副社長は3月2日、航空各社で事業環境が悪化する国内線について、事業改革が急務との認識を示した。利用しやすい運賃設定などにより増収を図るほか、新型リージョナル機エンブラエルE190-E2の投入により機材サイズを適正化し、コストを抑制する。また地方空港を中心に、グランドハンドリング(グラハン、地上支援)業務を日本航空(JAL/JL、9201)と共通化し、業界全体で効率化していく。

社長交代会見で握手を交わすANAの平澤寿一新社長(左)と井上慎一社長=26月3月2日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ANAのE190-E2(イメージ、エンブラエル提供)
平澤副社長は国内線について「これまで収益の基盤であったが、現状の費用構造では収入が追いついていない」と説明。2028年度から受領するE190-E2を、現状では座席数の提供過多の路線に投入することで、コストを抑制するなど「自助努力」(平澤副社長)で事業改革を進めていく考えを示した。
ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、2025年6月のパリ航空ショーでE190-E2を正式発注。最大20機を2028年度から受領する(関連記事)。

パリ航空ショーでE190-E2の契約書をエンブラエルのフランシスコ・ゴメス・ネトCEO(左)と交わしたANAホールディングスの芝田浩二社長=25年6月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
人手不足により人材確保が課題となっているグラハンは、地方空港を中心にANAとJALで資格を相互承認する取り組みを進めている。平澤副社長は「業務連携や共通化など、業界全体での効率化を進めていく」と述べた。
新型コロナ後の生活環境の変化や円安の影響を受け、国内線の事業環境が急激に悪化している。国土交通省航空局(JCAB)は2025年5月に「国内航空のあり方に関する有識者会議」を立ち上げ、航空各社や関係団体と会合を続けている。平澤副社長は同会議での結果を踏まえ「国内線ネットワークを持続可能な形へ立て直していく」と語り、決意を新たにした。
関連リンク
全日本空輸
社長交代会見
・ANA平澤新社長「飛行機も鉄道も大好き」40周年迎える国際線「プレゼンス一層高める」(26年3月2日)
ANAがE190-E2発注
・ANA、E190-E2パリ航空ショーで正式発注 28年度から国内初導入、エンブラエルとも初契約(25年6月17日)
・ANA井上社長、E190-E2運航会社「適切なタイミングで」判断(25年6月8日)
・ANA、過去最多77機発注 E190-E2国内初導入、超長距離A321XLRをピーチに(25年2月25日)
・エンブラエル、ANAから初受注 E190-E2を最大20機(25年2月25日)
E190-E2導入解説記事
・ANAはなぜエンブラエルを選んだのか 完結編・どうなるスペースジェット跡目争い(25年2月26日)
各社苦境続く国内線
・スカイマーク本橋社長、国内線“利益なき繁忙”に危機感 国際線再開は「検討必須」(25年12月15日)
・国内線は「赤字体質」出張減とドル建てコスト増で航空各社苦境、国交省有識者会議が初会合(25年5月31日)
・日本の国内線「航空会社多すぎない」IATA事務総長、成長鈍化も「重要な市場」(25年12月10日)
・羽田の国内線発着枠、配分見直し延期 ANA系コードシェア「国が注視」(24年6月26日)
グランドハンドリング
・ANAとJAL、グラハン7資格を相互承認 地方10空港でマーシャリングや牽引など(24年5月14日)
・ANAとJAL、グラハン資格を相互承認 地方10空港で7資格(24年4月2日)
・空港の旅客・ランプ係員、採用数の半数離職 国交省調査、受託料引上が課題(23年10月7日)
・全国のグラハン50社、系列の垣根越え「空港グランドハンドリング協会」設立(23年8月25日)
・国交省、グラハン・保安検査の契約適正化提言 人手不足解消へ中間とりまとめ(23年8月14日)
・福岡空港、グラハン車両の共用化検証 航空各社の一体感で実現(22年7月28日)
・ANAとJALロゴ入り牽引車も 福岡空港、グラハン車両の共用化検証中(21年12月23日)
