エアライン, 官公庁, 解説・コラム — 2020年4月22日 12:09 JST

ZIPAIR、ハワイ就航へ 米運輸省に申請、冬ダイヤ開設目指す

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 日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する国際線中長距離LCCのZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は、成田-ホノルル線の開設を米国運輸省(DOT)へ申請した。10月25日に始まる2020年冬ダイヤからの就航を目指す。

ハワイ就航を目指すZIPAIR=PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

 ZIPAIRは、米運輸省に外国航空運送事業者としての認可を現地時間4月20日付で申請。ホノルル線については、成田空港とダニエル・K・イノウエ国際空港(旧称ホノルル国際空港)間の定期便を、ボーイング787-8型機で週7往復(1日1往復)運航するとしている。また、将来的に米国内の他都市にも就航地を拡大する計画を示した。

 ZIPAIRは、1路線目の成田-バンコク(スワンナプーム)線を5月14日に開設予定だったが、中国から拡散した新型コロナウイルスの影響で延期。新しい就航時期は現時点で決定していない。一方で、2路線目の成田-ソウル(仁川)線は計画通り7月1日に就航予定だが、日韓両国のビザ免除中断など、新型コロナウイルスの拡散とは別の問題がある。

フルフラットベッドになるZIPAIRの787-8の上級クラス「ZIP Full-Flat」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 運航する787-8は2機を受領済み。いずれもJALが運航していた機体で、今後は新造機も受領していく計画だ。座席数は2クラス290席で、フルフラットシートを採用したビジネスクラスにあたる「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が18席、エコノミークラス「Standard(スタンダード)」が272席となる。

 当面は毎年2機ずつ787-8を追加予定で、いずれもJALからのリース機となる。ZIPAIRはハワイ就航後、西海岸への乗り入れを目指す計画を進めているが、新型コロナウイルスの感染拡大が収束する時期によっては、計画の大幅な見直しを迫られる可能性がある。

 一方、親会社のJALはハワイアン航空(HAL/HA)との共同事業(JV)について、DOTが独占禁止法適用除外(ATI)を認めなかったことから、今年1月に再申請している。この中で両社は、ZIPAIRも活用した利便性向上をJVの効果として訴求している。ZIPAIRがDOTに提出した書類でも、「人気の高いレジャー路線に低コストのキャパシティーを提供する。ZIPAIRの米国市場参入は、長年LCCの参入を奨励してきた当局の方針と一致する」と理解を求めている。

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機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル
ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも

写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
(1)フルフラット上級席ZIP Full-Flatは長時間も快適
(2)個人用モニターなし、タブレット置きと電源完備のレカロ製普通席
(3)LCC初のウォシュレット付きトイレ

写真特集・ZIPAIR 787-8の外観
白い機体に安全運航示すグリーンのチートライン

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【お知らせ】
最終段落を追記しました。(20年4月22日 12:30 JST)