エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2019年3月8日 22:58 JST

JAL中長距離LCC「ZIPAIR」、787で成田-バンコク・ソウル20年就航 米西海岸も視野

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 日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する中長距離LCCの準備会社「ティー・ビー・エル(TBL)」は3月8日、新社名を「ZIPAIR Tokyo(ジップエア トーキョー)」に決定したと発表した。ブランド名は「ZIPAIR(ジップエア)」で、サービス内容や制服のお披露目は4月ごろを予定している。

 成田空港を拠点とし、当初の機材はボーイング787-8型機が2機。成田-バンコク(スワンナプーム)線とソウル(仁川)線の2路線を、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催前に就航させる計画を進めていく。早ければ2021年にも米西海岸への乗り入れを目指し、就航2年後の黒字化を目標に掲げた。

JAL系中長距離LCCの社名「ZIPAIR Tokyo」を発表する西田社長=19年3月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
JAL機改修で機内Wi-Fiも
西海岸やハワイ、グアム検討
マルチタスクなCA募集

JAL機改修で機内Wi-Fiも

 ZIPAIRは、英語で矢などが素早く飛ぶ様子を表した擬態語「ZIP」を用いた造語。「ZIP CODE(郵便番号)」が持つさまざまな場所へ行けるイメージなどから、西田真吾社長は「至る所に日本人らしい創意工夫をつめて、計算し尽くされた移動体験を目指す」との思いを込めて名付けたという。また、頭文字「Z」は「究極」の意味でも取り入れた。

 一方、圧縮ファイルフォーマット「.zip」のイメージから、乗客を機内に詰め込むのではとTwitterなどで指摘された点について、西田社長は「お客様を詰め込んだり、“圧縮”する意図はない。安心して利用して欲しい」と理解を求めた。

JAL系中長距離LCCの社名「ZIPAIR Tokyo」を発表する西田社長=19年3月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「時代に合ったサービスクオリティーと、究極のコストバリューを両立させる、今までにないエアラインを目指す。自由な発想で考えていく」(西田社長)と説明。既存のLCCや、JALのようなフルサービス航空会社(FSC)とは異なる航空会社を目指す。

 コーポレートカラーは、メインカラーがグレー、サブカラーがグリーンで、グレーを「ハーモニー・グレー」と名付けて「コストと満足度の調和」を、グリーンは「トラスト・グリーン」として「安全運航・定時運航などの高品質なオペレーション」を示したという。

 西田社長は「燃料の一括調達など、JALグループとしてのスケールメリットを生かしながら、お客様に納得いただける品質を目指す」と説明。客室は「相当ゆとりある座席配置になる」と、787を使うことでLCCとしてはシートピッチにゆとりがあることや、大手のエコノミークラスの半値以下を目指すという低価格運賃で、差別化を図る。

 また、当初導入する2機の787-8は、JALが現在運航している機体を改修して使用する。このため、すでに設置済みの機内Wi-Fiシステムを活用したサービスの提供も検討していく。

西海岸やハワイ、グアム検討

 ZIPAIRは、8日に国土交通省航空局(JCAB)へAOC(航空運送事業の許可)を申請。これが認められると、同社は航空会社として営業できるようになる。今回申請したのは成田を発着するバンコク線とソウル線の2路線で、いずれも787-8で運航する。

ZIPAIRの787-8はJALから移籍=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 西田社長は、「需要の太さが魅力。バンコクとソウルの2路線で機材稼働を高める」と、すでに他のLCCなどが就航しているものの、市場規模の大きさから決めたという。

 また、航空機のエンジンが1基停止しても洋上飛行が一定時間可能な認証「ETOPS(イートップス)」を早ければ就航1年後の2021年に取得し、787で米国西海岸就航を目指す。西田社長は「アジアから太平洋を渡るLCCのパイオニアになりたい」と述べ、LCCとしてアジアから米国本土へ最初に就航することを目標に掲げた。

 東南アジアや米国西海岸に加え、韓国のLCCがグアムへ多く就航していることなどから、西田社長は「ハワイやグアムも検討対象になる」と述べた。西海岸に進出後は、欧州路線も視野に入れた計画を進めていく。

 今後の機材計画について、西田社長は「1年に2機ずつ増やしていく」とする一方、3号機以降の調達方法は「現時点で決定していない」と述べるにとどめ、2号機までと同じくJALから譲り受けるか、新造機を発注あるいはリースするかは今後詰める。

 787-8より大型の787-9や787-10を選定する可能性については、「検討の幅はいろいろあるが、(客室の)コンフィグレーションはなるべくそろえた方がいいのではと、悩んでいる」と語った。

 目標に掲げる就航2年での黒字化は、「中長距離LCCとしては高いハードルだが、挑戦するに値する目標」として、達成を目指す。

マルチタスクなCA募集

 ZIPAIRでは、2018年に募集した2機の787を運航するために必要なパイロット約30人は、確保できたという。4月からは社員を募集し、客室乗務員として乗務しながら地上係員やサービス企画業務など、1人で複数の仕事をこなす勤務形態にする。当初の社員数は200人程度を想定している。

JAL系中長距離LCC「ZIPAIR」の概要を説明する西田社長=19年3月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 4月中旬には採用説明会を開催する。西田社長は、「ITやスマートフォンを活用するが、客室や空港ではお客様と一番濃い接触ができる。お客様の反応や顔色が大切なので、その場の気づきを品質改善や新しいサービスにつなげられるサイクルを造りたい。マルチタスクな働き方で、自分で気づいたことを自分で実装できるようにしたい」と、職場のイメージを語った。

 就航は、2020年夏ダイヤ期間を目指す。バンコク線とソウル線は同時開設ではなく、少し間を空けて就航させる見通し。

 西田社長は「東京オリンピック前には就航したい。間に合わせることで、日本にはこんなエアラインがあるんだと、訪日客に知ってもらいたい」と語った。

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