エアライン — 2019年12月28日 15:23 JST

エア・ドゥ古田親子機長、定年前に息子とラストフライト「人格も磨け」

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 エア・ドゥ(ADO/HD)のパイロットで、2012年からボーイング767型機の機長を務めた古田貢章(みつあき)さんが12月27日、帯広発羽田行きHD66便(767-300、登録記号JA602A)で最後の乗務を終えた。同社には貢章さんの息子、古田航一さんも767の機長として務めており、貢章さんの最終乗務は“親子フライト”として、航一さんとともに担当。機長が2人乗務する「ダブルキャプテン」でラストフライトを飾った。

一緒に乗務した息子の航一機長(左)に見守られ羽田空港に到着したHD66便の機内で客室乗務員から記念品を受け取る古田貢章機長=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

—記事の概要—
ANA定年後に息子と合流
技術だけでなく人格も

ANA定年後に息子と合流

 古田貢章さんは1951年12月31日生まれ。今年の大晦日に68歳の誕生日を迎え、航空法により旅客機の機長としては定年を迎える。幼少期から乗り物に興味があり、近くに飛行場とヘリポートがあった環境で過ごしたことから、特に飛行機は身近な存在であったという。

息子の航一機長(右)と乗務しラストフライトを終えた古田貢章機長=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 エア・ドゥへ入社前は全日本空輸(ANA/NH)に在籍し、23歳で727の航空機関士として乗務を開始。その後は747の航空機関士、767の副操縦士、747-400の副操縦士を務め、777で機長に昇格した。その後、生涯唯一のエアバス機となるA320型機も、機長として操縦桿を握った。

 貢章さんは「副操縦士だと何があっても最後には機長がいる、というのが頭のどこかにはある。そこが決定的に違う」と、777で初めて機長の発令を受けた当時を振り返った。

 エア・ドゥへの入社は息子の航一さんが1年先輩で、2011年入社。貢章さんは、60歳でANAの定年を迎えた2012年に入社している。親子でのフライトは今回が初めてではなく、航一さんが副操縦士だったころを含め、数回あったという。2018年1月に航一さんが767の機長に昇格したことで、今回は親子によるダブルキャプテンという、日本では珍しいラストフライトになった。

技術だけでなく人格も

 貢章さんの最終乗務日となった27日は1便のみの乗務で、帯広から羽田までの片道を親子で操縦した。運航責任者であるPIC(Pilot In Command)は貢章さんが務め、航一さんは、父をサポートする副操縦士業務を担当。ラストフライトとなった帯広発HD66便は、乗客161人(幼児4人含む)を乗せ、帯広を午後2時44分に出発し、午後4時28分に羽田へ到着した。乗務を終えた古田さん親子は、羽田にあるエア・ドゥの東京事業所で同僚たちに迎えられ、笑顔をみせた。

ラストフライトを終えた感想を話すエア・ドゥの古田貢章機長=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 エア・ドゥによると、貢章さんが担当したHD66便の機長アナウンスでは、飛行高度や風の状況などの案内に続き「自身最後のフライト」であることを話したという。その際、一緒に操縦しているのが息子で、エア・ドゥの空の安全を引き継ぐと宣言すると、機内ではあたたかい拍手が起こったという。アナウンスを隣で聞いていた航一さんはそのとき、「家族として今までの記憶がよみがえって、涙がこぼれた」と、降機後に話した。

 仕事と家庭内でのお互いの印象の違いを、「家族という関係がなくなりますので、全然違います」と語った貢章さんに対し、「家ではゆったりのんびりなので、フライトになったらスイッチが入るのかと思っていたら、そうでもなかった(笑)。ゆったりとした雰囲気の中でフライトが流れていくので、良い意味で驚いた」と、航一さんは父のマイペースぶりを披露した。

 貢章さんは、「フライトは、お客様のためであり会社のため。技術だけでなく人格も磨きなさい。それがいいオペレーションにつながる」と、今後もパイロットとしてエア・ドゥの安全を担う航一さんを激励した。

 貢章さんは、2019年10月3日に総飛行時間2万時間を達成。27日の最終便で達した2万130時間18分のうち、機長としてのフライトは9271時間26分だった。エア・ドゥ入社後の総飛行時間は3393時間39分で、このうち機長として3301時間0分を飛んだ。今後は同社の教官として、後進を育成していくという。

*写真は14枚。

羽田空港に到着する古田貢章機長のラストフライトとなったHD66便=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

羽田空港に到着したHD66便の機内で客室乗務員から記念品を受け取った古田貢章機長(左)と航一機長=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

客室乗務員から受け取った記念品を確認する古田貢章機長(中央)と航一機長=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

息子の航一機長(右)と乗務しラストフライトを終えた古田貢章機長=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

ラストフライトを終え仲間が待つエア・ドゥの東京事業所に到着した古田貢章機長(中央)=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

ラストフライトを終え仲間が待つエア・ドゥの東京事業所に到着した古田貢章機長=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

ラストフライトを終え花束を受け取る古田貢章機長(右)=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

仲間から贈られた花束や写真パネルと一緒に記念撮影する古田貢章機長(右)ら=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

ラストフライトを終えた古田貢章機長(左)に言葉を贈るエア・ドゥの龍神恒夫総括運航本部長=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

エア・ドゥの東京事業所で集まった社員にあいさつする息子の航一機長(左)と古田貢章機長=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

ラストフライトを終えた感想を話すエア・ドゥの古田貢章機長(右)とともに乗務した息子の航一機長=19年12月27日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

古田貢章機長ラストフライト(括弧内は定刻/実績)
HD66 帯広(14:25/14:44)→羽田(16:10/16:28)

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