エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2026年8月9日 13:37 JST

ルフトハンザ、初期製造777Xを選別受領へ 特集・787事例から見た次世代旗艦機

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 ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)を中核とするルフトハンザグループのカルステン・シュポアCEO(最高経営責任者)は、製造初期のボーイング777-9(777X)について、受領しない機体と、改修して受領する機体の扱いをボーイングと協議していることを明らかにした。両社は詳細を詰めているが、同じく開発が大幅に遅れた787では初期製造機をどう扱ったのか。そして、日本の航空会社で唯一発注している全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、どのような判断を下すのだろうか。

初期製造機の受領拒否が表面化しつつある777-9=22年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
初期製造機改修に数年
787では「魔のティーンズ」
ANA受領は27年度下期以降

初期製造機改修に数年

 777Xは777-300ERの後継となる次世代フラッグシップで、2027年から航空会社などへ引き渡しが始まる予定。ボーイングは今年4月の2026年1-3月期決算説明で、製造済みの777-9に認証試験や生産性、工程改善などに伴う変更を反映するため、専任チームを設けていると説明し、約30機を数年かけて改修するとしている。

シアトル近郊のエバレット工場に駐機された777X=19年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 初期に製造された機体ほど変更点が多く、構造関係の改修も増えて時間を要するという。ボーイングが現地時間7月28日に開いた2026年4-6月期決算説明会では、一部の初期製造機はほかの機体より改修作業が多いとし、どの機体をどの仕様で引き渡すかを顧客と協議すると説明した。

 海外メディアによると、改修する機体についてはボーイングが費用を負担する方向で協議している。ルフトハンザが8月4日に開いた2026年上期の決算説明会では、同社が受領しない機数などの詳細は明らかにしていない。ルフトハンザが初期製造機の受領拒否を決めると、エミレーツ航空(UAE/EK)に続き2社目となる。

 エミレーツは、2019年から2021年に製造された同社向け初期777-9の10機を受領しない方針を示している。現在の仕様に合わせるため、大規模な改修が必要になることを理由に挙げている。

787では「魔のティーンズ」

 当初は2008年に納入が始まる予定だったものの、開発遅延などで3年以上ずれ込み、2011年9月に初号機が引き渡された787の場合、デリバリー開始当初は機体の設計重量超過に悩まされていた。複合材を多用した胴体の強度が設計通りに出ず、補強材で重量がかさみ、航続距離もカタログ通りではなかった。「Terrible Teens(魔のティーンズ)」と呼ばれ、長らく引き取り手がなかった初期生産分の機体もあった。

シアトルから羽田空港へ到着したANAの787初号機JA801A。787も初期製造機の扱いに悩まされた=11年9月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ボーイングでは民間機の製造を管理する上で、「Line Number(LN、ラインナンバー)」という番号を使用している。787ではLN1から6までが飛行試験機、LN7以降が量産機。LNは標準型の787-8、長胴型の787-9、超長胴型の787-10に通しで割り振られており、787-9と787-10では重量超過問題は発生していない。

 787は、LN7から22までは設計重量超過が何らかの形で生じており、LN23から33は重量が超過しているものの、発注した航空会社が許容できるレベル、LN34から89までは重量軽減が進み、LN90以降はカタログスペックを達成したと言われている。

 787のローンチカスタマーだった全日本空輸(ANA/NH)も、一部の初期製造機の受領を拒否し、より新しい機体を受領した。一方ですべての初期製造機を拒否したわけではない。787で最初の量産機となるLN7のJA803Aは、ANAへの納入順では12番目となり、2012年8月に受領した。これに対し、2011年9月に受領した787初号機JA801AはLN8、翌10月受領の2号機JA802AはLN24だった。

ANA受領は27年度下期以降

 そのANAも、777Xの引き渡しを長らく待たされている。ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は2014年に777-9を20機発注し、2022年にうち2機を貨物型777-8Fへ変更。現在は777-9を18機、777-8Fを2機の計20機が受領待ちだ。

ファンボロー航空ショーで開かれた777-8Fと737-8の調印式の会場に飾られたANAホールディングスが発注した737-8(手前)と777-8Fの模型=22年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 当初は、777-9を2021年度から2027年度に受領する計画だったが、ボーイングの納入遅延で後ろ倒しが続いている。ANAHDは今年7月29日に最新の見通しを示し、当初計画から6年以上遅れ、本来なら受領最終年度となる2027年度の下期以降に初受領するとしている。

 ANAは777Xのローンチカスタマーではなく、ルフトハンザなど初期受領組への納入が一巡してから引き渡しが始まる見通しだ。777XのLNは既存の777から連番で、ANAの初号機JA071Aは現時点でLNが1629と、2019年10月にANAへ納入された777-300ER(JA797A)のLN1627と2つしか違わない。2号機(JA072A)はLN1633で、2019年11月に各社へ引き渡された777-300ERや777F貨物機に近く、3号機(JA073A)はLN1680で、2020年11月に納入された777Fなどと並ぶ。

 このため、ANAが777Xの受領について、エミレーツやルフトハンザと同様の判断を下すとなると、初号機は2027年度下期に受領したとしても、長距離国際線の定期便運航を維持するために最低限の2機体制で当面しのぎ、初期製造機の改修やより新しい機体の受領といった対策を講じる可能性がありそうだ。

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