エアバスA220が、7月15日の就航からまもなく10年を迎える。ボンバルディアが「Cシリーズ」として開発した小型単通路機で、2018年にエアバスの製品群へ加わり、A220に改称された。

トゥールーズでお披露目されたA220-300=18年7月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
今年5月末時点の受注数は1109機、納入数は517機。100-150席級の市場を狙った機体は、エアバスの単通路機ラインアップの一角に定着した。ボンバルディアの機体からエアバス機となったA220の歴史を振り返る。
—記事の概要—
・100-150席級の空白狙う
・A220改称、受注1000機超に
・180席A220-500も視野
100-150席級の空白狙う
Cシリーズが狙ったのは、100席未満が中心のリージョナル機と、150席以上の主力単通路機の間にある市場だった。エアバスやボーイングの主力単通路機が大型化する中、A318や737-600の後継にあたる機体はA320neoや737 MAXの世代で用意されず、100-150席級に空白が生じていた。

パリ航空ショーでデモフライトを披露するCS300の試験機=15年6月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ボンバルディアはこの市場に、完全新設計のCシリーズを投入した。カナダ・ケベック州ミラベルを拠点に開発を進め、最初の飛行試験機(FTV1、登録記号C-FBCS)は「Phoenix」と呼ばれた。2号機(C-GWYD)の「Black Sheep」、初のCS300(C-FFDK)「Lucky Sevens」など、試験機にはそれぞれ愛称が付けられた。
Cシリーズは、短胴型のCS100と長胴型のCS300で構成。CS100は100-135席、CS300は130-160席級で、部品の多くを共通化し、パイロットも同じライセンスで操縦できる。エンジンには米プラット・アンド・ホイットニー製のGTFエンジン「PurePower PW1500G」を採用し、低燃費と低騒音を売りにした。

トゥールーズでお披露目されたA220-300のコックピット=18年7月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

進行方向左2席+右3席の1列5席配列を採用したA220-300の機内=18年7月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
客室はキャリーバッグを収納できる大型のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)や、A320と比べて15%大きい窓、シート幅が最大19インチ(約48.3センチ)であるなど、居住性の高さもアピールポイントだ。1列あたりの座席数はエコノミークラスの場合、2-3席の5席配列を採用しており、リージョナル機(1列4席)とA320(同6席)の中間となる。
初の商業運航は2016年7月15日で、スイス インターナショナルエアラインズ(SWR/LX)のチューリッヒ発パリ(シャルル・ド・ゴール)行きLX638便が初便となった。同社にはCS100の初号機(HB-JBA)を6月29日に引き渡しており、Cシリーズの運航は欧州から始まった。
A220改称、受注1000機超に
転機となったのは2018年だった。エアバスは7月に、Cシリーズの製造や販売を担う事業会社「CSALP(C Series Aircraft Limited Partnership)」の株式50.01%を取得。Cシリーズを自社の単通路機ラインアップに加えた。CS100はA220-100、CS300はA220-300に改称され、仏トゥールーズではエアバスカラーをまとったA220-300(C-FFDO)がお披露目された。

トゥールーズでお披露目されたA220-300=18年7月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
A220へ改称した2018年7月10日時点で、受注は402機、納入は38機だった。エアバスの今年5月末時点の受注・納入実績では、受注は1109機、納入は517機に拡大し、運航中の機材は513機となった。特に長胴型のA220-300が受注1001機、納入442機を占め、現在のA220の主力になっている。
運航実績も積み上がった。エアバスによると、A220は5大陸の25社が運航し、搭乗者数は2億4000万人以上、有償運航便数は200万便以上、飛行時間は370万時間以上、飛行距離は26億キロ以上となった。就航地は500都市以上、運航路線は2000路線以上で、A220の導入により300以上の新路線が開設された。
A220が担ってきたのは、単に小型機の置き換えだけではない。エアバスはA220を「ネットワーク・ビルダー」と位置付け、北欧-カナリア諸島や東アフリカ-ムンバイ、豪州内陸部など、需要規模や距離の面で、より大型の機材では成立させにくかった路線の開拓に使われてきたとしている。
180席A220-500も視野
180席クラスで開発が検討されているA220-500も、このところ話題に上っている。マレーシアのエアアジアが160席仕様のA220-300のローンチカスタマーになると今年5月に発表し、A220-500へ発注変更できる柔軟性も持たせた。

エアアジアのA220(イメージ、エアバス提供)
A220はCシリーズを名称変更した機体である以上、A320neoなどエアバスの既存機とはコックピットの仕様が異なる。このため、A220ファミリー内で同じライセンスのまま180席クラスまでカバーできれば、航空会社にとっては効率が良くなる。
現在の客室デザインは、エアバスの「Airspace」を採用。完全新設計機として生まれたCシリーズは、A220としてエアバスの製品群に加わり、就航から10年を経て、座席数の多い路線では開設が難しい路線でも開拓できる単通路機として、存在感を強めている。
関連リンク
Airbus
A220-500
・エアアジア、A220-300を最大300機発注 180席A220-500視野(26年5月7日)
A220解説
・なぜA220は中部でデモフライトを実施したのか 特集・日本の100-150席市場を考える(19年8月14日)
・A220ってどんな機体? 特集・エアバス機になったCシリーズ(18年7月11日)
A220
・エアバス、A220羽田で公開 大きな窓や手荷物収納棚で快適性重視(22年5月9日)
・エアバスのA220、中部で日本初デモフライト 快適性アピール(19年8月6日)
・エアバス、A220発表 Cシリーズを改称(18年7月10日)
セントレアでのデモフライト動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・A220セントレア着陸(3:53)
・A220の機内(0:32)
・A220セントレア離陸(2:24)
