官公庁, 機体 — 2014年9月23日 06:02 JST

乱気流事故はレーダーで防止 JAXA航空シンポジウム技術講演(4)

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 JAXA(宇宙航空研究開発機構)が9月18日に開催した、航空科学技術と国際競争力の強化をテーマにした発表会「JAXA航空シンポジウム2014」。午後の技術講演では航空本部のグループ長などが、実行中の取り組みや今後の展望などを発表した。

登壇したSafeAvioプリプロジェクトチーム長の町田氏=9月18日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 SafeAvioプリプロジェクトチーム長の町田茂氏は「乱気流事故防止機体技術(SafeAvio)」について発表。乱気流事故を防止するためのレーザレーダー技術をベースに、航空機搭載用乱気流事故防止システムの技術開発を実施、活動概要を報告した。

 日本で起きた過去10年の航空事故の約半数は乱気流によるもので、乱気流は搭載が義務づけられている気象レーダーでは検知できない。件数は増加傾向にあり、巡航中や下降中、進入、着陸の時間帯に多く発生する。

 1990年から2012年の調査で、乱気流による負傷者は186人で、うち客室乗務員が40%の74人、乗客は60%の112人。負傷者の73%は機体後方で被害に遭っている。

 乱気流の検知には機体からレーザー光線を照射し、乱気流から反射するレーザー光の波長変化から風速を計算、風速の変化から乱気流を検出する仕組み。乱気流の距離はレーザー光の往復する時間から測定する。事故防止システムでは乱気流を検知し、パイロットへ情報を提供。シートベルトサインの点灯や速度低減操作などで事故を回避する。

 JAXAは実験用航空機で実証実験、2019年中ごろまでに終了し、その後実用化に向けて取り組む。航空機の国産化研究開発のプログラムの柱として実施していくとしている。

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JAXA航空本部

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