関西3空港を運営する関西エアポート(KAP)は2月20日、創業時から社長を務める山谷佳之氏が退任し、新社長に同じくオリックス(8591)出身の三上康章氏が就任する役員人事を発表した。同社初の社長交代で、6月29日に開催予定の株主総会で正式決定する。

関西エアポートの新社長に就任するの三上康章氏(同社提供)
三上氏は大阪府箕面市出身で、1990年に関西学院大学経済学部を卒業後、オリックスに入社。ORIX USA Corporation(現ORIX Corporation USA)やオリックスの人事部長などを経て2017年1月に執行役、2020年1月に常務執行役、2023年1月に専務執行役、同年6月に取締役兼専務執行役に就任。今年1月に参与となり、2月からはKAPの顧問に就任した。
関西3空港は、関西空港と伊丹空港が2016年4月1日、神戸空港は2018年4月1日に、国や神戸市に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」で民営化。関空と伊丹はKAPが、神戸は同社が100%出資する関西エアポート神戸が運営会社となり、関西3空港を一体運営している。
KAPには、オリックスと仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートが40%ずつ、関西を拠点とする企業・金融機関30社が残り20%を出資。2015年に行われた運営権の入札で応札したのはオリックス連合のみで、KAPは創業時からオリックス出身の山谷氏が社長を務めている。

関空T1リノベーション完成と開港30周年を祝う式典で「必ず儲けてみせる」と挨拶する関西エアポートの山谷佳之社長=25年3月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
大阪・関西万博の開幕を控えた2025年3月27日には、関空第1ターミナル(T1)が1994年9月4日の開港以来初となる大規模改修を終えてグランドオープン。山谷社長は「30年の歴史はチャレンジと苦悩の繰り返しだった。今度は失敗したくない。必ず儲けてみせる。必ず必ず儲けてみせて、私たちが利益を上げれば、関西経済界も、大阪も神戸も京都もみんな儲かるはずだ」と述べ、「次の30年は儲けて儲けて儲かる関西空港、伊丹空港、神戸空港であり、関西経済のために歩みたい」と、儲けることにこだわったあいさつと抱負を述べた。
また、KAPは通期の業績予想を一度も開示していない。非開示の理由として、山谷社長は空港運営事業は不確実性が高く、親会社のオリックスとヴァンシが上場企業であることを理由に挙げている。
一方で、羽田空港のターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)は上場しており、中部空港(セントレア)を運営する中部国際空港会社はトヨタ自動車(7203)をはじめ多くの上場企業が出資。ほかの空港運営会社も、三菱地所(8802)など上場企業が株主に名を連ねている。
関空の直近の実績をみると、習近平政権による中国国民に対する日本への渡航自粛要請により、中国路線が大幅な減便となっている。1月26日に発表した2025年12月の利用実績(速報値)によると、中国路線の発着回数は前年同月比40%減の2286回で、中国からの旅客数は39%減の34万4000人だった。
三上新社長が政治リスクが極めて高い中国以外の路線誘致や、公共財である空港の運営会社としての透明性や説明責任を、どのように果たしていくかに注目が集まる。
関連リンク
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神戸民営化
・神戸空港が民営化 関空、伊丹と一体運営(18年4月1日)
決算
・関空、純利益34%増226億円 旅客・発着回数とも過去最高=25年4-9月期(25年12月2日)
実績
・関空、訪日客3年11カ月ぶり前年割れ 中国大幅減=25年12月実績(26年1月29日)
・関空の訪日客、初の2000万人超え 総旅客数3409万人=25年暦年(26年1月27日)
