日本航空(JAL/JL、9201)は9月17日、ハワイで8月に起きたパイロットの飲酒問題により、国土交通省航空局(JCAB)から行政指導にあたる「厳重注意」を受けたことから、鳥取三津子社長ら役員の処分を決定した。鳥取社長は月額報酬を2カ月間30%減額する。

国交省での会見で飲酒問題を説明するJALの鳥取社長=25年9月10日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
安全責任を負う「安全統括管理者」の中川由起夫常務と南正樹運航本部長は同20%減額を1カ月間、社外取締役を含む全取締役と全執行役員も同10%減額を1カ月間とした。
パイロットの飲酒問題について、JALは2024年12月に国交省から業務改善勧告を受け、再発防止策を進めている中で起きた。JALは「グループの信頼回復と再生に、経営主導で全力で取り組んでまいります」とコメントしている。
一方で、監督する国交省では、飛行検査センター所属の機長が飲酒問題を2019年12月に起こした際、航空業務停止(乗務停止)60日間の処分を下したものの、懲戒免職処分には至っていない。また、今以上にパイロットの飲酒問題に対して厳しい目を向けられていたが、当時の赤羽一嘉国交相は自らの減俸処分や自主返納といった対応をとらず、民間企業には厳しく身内に甘い印象を与えた。
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日本航空
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