エアライン, 官公庁, 解説・コラム — 2025年9月3日 14:21 JST

JAL、機長飲酒でホノルル発最大18時間遅れ 社内規程違反で3便影響

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 日本航空(JAL/JL、9201)の機長が、乗務で滞在中のハワイで社内規程に違反する飲酒をしたことにより、機長が乗務予定だった現地時間8月28日のホノルル発中部行きJL793便(ボーイング787-9型機、登録記号JA874J)を含む3便が、代わりのパイロットを手配するため最大18時間遅れ、あわせて約630人に影響が出た。JALは詳しい原因を調査中で、監督する国土交通省航空局(JCAB)へ報告した。

*当該機長解雇へ。続報はこちら

機長の飲酒でホノルル発便が最大18時間遅れたJAL(資料写真)=2PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALによると、パイロットによる飲酒問題が頻発したことから、パイロットの乗務による滞在「ステイ」中の飲酒を、2024年12月11日午前0時以降に出発する便から社内規程で禁止。機長が乗務前に体調不良を訴え、この社内規程に違反して飲酒したことを認めた。

 この影響で、機長が乗務予定だった28日の中部行きJL793便は、後続のホノルル28日午後4時35分発羽田行きJL71便(787-9、JA876J)のパイロットと交代して出発。JL793便は定刻の午後2時20分から2時間8分遅れの28日午後4時28分に、乗客239人(幼児2人含む)と乗員12人(パイロット2人、客室乗務員10人)を乗せてホノルルを出発した。

 一方、28日の羽田行きJL71便は、代わりのパイロットを日本から手配する必要があり、18時間41分遅れの翌29日午前11時16分にホノルルを出発した。また、29日の羽田行きJL71便(787-9、JA875J)も、パイロット手配の影響が残り、18時間21分遅れの30日午前10時56分の出発となった。このほか、30日と31日の羽田行きJL71便も遅れが生じたが、機材整備によるもので飲酒問題とは別の原因だった。

 直近で起きたJALのパイロットによる飲酒問題は、2024年12月1日の豪メルボルン発成田行きJL774便(787-8、JA840J)で、機長2人の過度な飲酒で出発が3時間以上遅れ、会社側の調査には口裏合わせをしていた。JALは2人を解雇し、グループ内の航空会社でパイロットとして再雇用しないことも決めた。メルボルン事案に対し、国交省は行政指導にあたる「業務改善勧告」を行い、JALは今年1月24日に再発防止策を提出した。

 国交省や航空会社がパイロットの飲酒問題を重くみるのは、飲酒には反省を示せても、他の欲求に対して自制できる人物かどうかといった、パイロットとしての資質に疑念が生じることが背景にある。

 JALは「アルコール事案を含む複数の不安全事象の発生により厳重注意を受け、再発防止に取り組んでいる中で、再度類似事例を発生させてしまい、誠に申し訳ありません。再発防止策を確実にすべく全社一丸となって取り組んでまいります」とコメントした。

影響3便の運航実績(定刻/実績)
8/28 JL793 ホノルル(28日14:20/28日16:28)→中部(29日17:30/29日19:13)
8/28 JL71 ホノルル(28日16:35/29日11:16)→羽田(29日19:45/30日13:53)
8/29 JL71 ホノルル(29日16:35/30日10:56)→羽田(29日19:45/31日13:49)

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