日本航空(JAL/JL、9201)傘下で中長距離LCCのZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は3月19日、ボーイング787-9型機を導入すると正式発表した。JALが運航している同型機を10機規模で改修し、2027年度以降に導入を計画している。

ZIPAIRの787-9(イメージ、同社提供)
JALの787-9は国際線機材で、2015年7月1日就航。787-8よりも全長が約6.1メートル長い機材で、現在22機運航しており、一部をZIPAIR仕様の客室に改修する。ZIPAIR向けに転出する10機規模の減少分は、JALが2024年7月の英ファンボロー航空ショーで確定発注した10機の787-9で補い、2028年度以降に国際線機材として受領する。
JALとボーイングの契約はオプション10機を含めると最大20機だが、現時点でZIPAIR向けは元JAL機となる見通し。
現在8機ある787-8の座席数は、2クラス290席。フルフラットシート「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が18席、エコノミークラス「Standard(スタンダード)」が272席で、ZIPAIRの西田真吾社長によると、ZIP Full-Flatは満席になる便が多いといい、787-9の導入で単価の高いフルフラットシートの提供座席数を増やすとみられる。
2026年度上期には、787-8の新造機を2機受領する見通しで、10機体制を構築。その後は今後の需要想定から機材の大型化を決め、2030年代前半に向けて事業規模を現在の2倍以上に拡大していく。
2020年6月3日に就航したZIPAIRの就航地は、バンコク、ソウル、ホノルル、シンガポール、ロサンゼルス、サンノゼ、サンフランシスコ、マニラ、バンクーバーに、3月4日から片道約14時間かかる最長路線のヒューストンが加わった。これまで最長だったロサンゼルス線よりも長距離路線を運航するようになり、将来的な米国東海岸就航へつなげていく。
関連リンク
ZIPAIR
787-9導入へ
・【独自】ZIPAIR、787-9導入 フルフラットシート拡充視野(25年3月4日)
・ZIPAIR西田社長「お手軽価格で楽な移動手段あってもいい」787-9でフルフラット拡充(25年3月6日)
・ZIPAIR西田社長、787新造機受領「期待しながら待つ」787-9は「要望していく」(24年10月11日)
・JAL、787-9最大20機正式発注 ZIPAIRも検討、28年度から国際線(24年7月23日)
・ZIPAIR、787-9導入 JAL発注機(24年3月21日)
ヒューストン就航
・ZIPAIR、ヒューストン就航 片道14時間の国内LCC最長路線(25年3月4日)
東海岸が検討対象
・なぜZIPAIRは最長ヒューストン線を開設できるのか 特集・往復28時間路線支える整備運航計画(24年10月14日)
・ZIPAIR西田社長、東海岸就航に意欲 欧州は「迂回しんどい」(24年10月11日)
・ZIPAIR、ヒューストン就航 25年3月から週4往復(24年10月10日)
機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも
写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
(1)フルフラット上級席ZIP Full-Flatは長時間も快適
(2)個人用モニターなし、タブレット置きと電源完備のレカロ製普通席
(3)LCC初のウォシュレット付きトイレ