エアバス, エアライン, 機体, 空港 — 2025年2月14日 21:27 JST

ピーチ機長、乗務前飲酒で虚偽説明 国交省が厳重注意

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 国土交通省航空局(JCAB)は2月14日、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)に対し、厳重注意を行った。現地時間1月7日のシンガポール発関西行きMM774便(エアバスA321LR、登録記号JA902P)で、機長が同社の運航規程で禁じている勤務開始前12時間以内の飲酒を行い、その後の聴取で会社に虚偽の説明を行っていた。国交省によると、機長は酒気を帯びていなかったものの、乗務前のアルコール検査を失念したことなどを問題視し、3月7日までに再発防止策を文書で提出するよう同社に求めた。

機長の飲酒問題で国交省から厳重注意を受けたピーチ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 MM774便のパイロット2人のうち、規程違反の飲酒をしたのは機長のみ。同社の運航規程では、パイロットは飛行勤務開始前12時間以内の飲酒が禁止されているが、機長は6日午後1時30分から2時にかけて約30分間、シンガポールで500ミリリットルのビール2缶を飲酒。1月13日に社内調査で判明し、翌14日に国交省へ報告した。

 社内調査で機長は当初、虚偽の飲酒時間を会社に説明。また、機長と副操縦士が乗務前のアルコール検査を実施していなかったことも判明した。加えて、同社のアルコール検査の管理担当者も、システム上に「検査結果を受領していない」との表示が出ていたにもかかわらず、パイロットに確認するなどの適切な対応をしていなかった。

 国交省は「意図的な違反行為であり、虚偽説明を行った点は悪質」と判断。「アルコール検査体制が適切に機能しておらず、安全管理システムも十分に機能していない」と指摘し、厳重注意に至った。

 ピーチは「多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを、重ねてお詫び申し上げます」と陳謝した。

 国内の航空会社では、昨年2024年12月に日本航空(JAL/JL)でもパイロットの飲酒問題が発生。メルボルン発成田行きJL774便(ボーイング787-8型機、登録記号JA840J)の出発前に、機長と副機長が乗務前日に過度な飲酒を行い、同便の出発が3時間以上遅れた。JALは2人を懲戒解雇し、国交省はJALに業務改善勧告したほか、元機長2人に対しても180日間(機長)・210日間(副機長)の航空業務停止処分を科した。

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