ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)を中核とするルフトハンザ・グループは現地時間1月18日、伊国営航空会社ITAエアウェイズ(ITY/AZ)の株式41%をイタリア経済財政省(MEF)から取得し、傘下に収める取引を完了した。イタリアのフラッグキャリアであるITAは、ルフトハンザ・グループで5番目のネットワーク航空会社となり、アライアンス(航空連合)はルフトハンザと同じスターアライアンスへの移籍が計画されている。

ルフトハンザが子会社化したイタリアのITAエアウェイズ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
今回の契約は、2023年5月にルフトハンザとMEFが合意し、2024年11月に欧州委員会(EC)が救済措置を承認した後、正式に進められていた。ルフトハンザは3億2500万ユーロ(約503億円)を投資し、残りの株式を取得するオプションも設定している。
ルフトハンザ・グループのカルステン・シュポアCEOは「ITAをグループに迎え入れることを誇りに思う」と述べ、今後の成長と統合を通じ、欧州やイタリア市場の競争力を強化するとコメント。ITAのブランドは維持され、数週間以内にITAのマイル制度「Volare」とルフトハンザの「Miles & More」の統合、コードシェア、ラウンジの相互利用を始める見通し。また、ITAのスターアライアンス加盟も計画されている。
イタリアは米国に次ぐルフトハンザ・グループの国際市場として重要な位置を占めており、今回の統合でグループの「ホームマーケット」が広がることになる。また、ローマ・フィウミチーノ空港は、ルフトハンザ・グループ6番目で欧州最南端のハブ空港と位置付けられている。
ITAの新CEOには、ルフトハンザのヨルグ・エバハート氏(54)が就任。ロレンツァ・マッジョ氏(47)が最高戦略・統合責任者(CSIO)、マイケル・トレストル氏(39)がグループ統合担当役員にそれぞれ任命され、統合プロセスを主導する。
ルフトハンザは2月3日にローマで記者会見を開き、今後の具体的な戦略を発表する見通し。

ITAエアウェイズ(手前)を子会社化したルフトハンザ=PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ルフトハンザ・グループに属するルフトハンザ、スイス、オーストリア、ブリュッセル、ITA、ユーロウイングス(ルフトハンザ提供)
ITAは、経営破綻したアリタリア-イタリア航空(AZA/AZ)に代わる航空会社として、2020年11月に設立。2021年10月に運航を開始し、現在はエアバス機99機を保有しており、世界約70都市を結ぶ路線網を展開している。ローマ・フィウミチーノ空港とミラノ・リナーテ空港を拠点に、国内外のネットワークを構築している。
加盟するアライアンスはルフトハンザとITAで現在は異なり、ルフトハンザは「スターアライアンス」、ITAはエールフランス航空(AFR/AF)などと同じ「スカイチーム」に属する。スターアライアンスには全日本空輸(ANA/NH)も加盟しており、ANAは2024年12月にミラノ・マルペンサ空港へ25年ぶりに就航してイタリア路線を再開しており、スターアライアンス内での提携強化が見込まれる。
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