エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2024年2月10日 12:44 JST

AirJapan便「半分超えはまだ先」2号機は4月中旬、当面ANA便主体

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)の峯口秀喜社長は2月9日、この日就航したインバウンド(訪日外国人)を主な対象にした新ブランド「AirJapan」の運航割合は、同社が運航する便のうち半分以下の状況が続くと語った。同社は全日本空輸(ANA/NH)の国際線を一部運航しており、ANAブランド便とAirJapanブランド便の両方を運航する体制になった。

成田空港に並ぶAirJapan仕様の787-8初号機JA803A(左)とANAの787-8メキシコ線対応機JA827A=24年2月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
25年度までに6機
フルサービス並みのサービス

25年度までに6機

 AirJapanは、FSC(フルサービス航空会社)のANA、LCC(低コスト航空会社)のピーチ・アビエーション(APJ/MM)に続くANAグループ第3のブランド。アジア・リゾート路線をグループ内で担うエアージャパンを、FSCとLCCの長所を併せ持つ“いいとこ取り”の航空会社に衣替えした。客室乗務員はANAとAirJapanの制服を乗務に応じて着用する。

特別塗装から通常デザインに塗り直されるANAの787初号機JA801A。7年を経てAirJapan塗装になる=17年2月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で取材に応じるエアージャパンの峯口秀喜社長=24年2月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 機材はすべてANAが運航していたボーイング787-8型機の改修機で、2025年度までに6機体制とする計画で、現在は初号機(登録記号JA803A)のみ。

 峯口社長は「2号機(JA801A)が4月中旬に入ってくるが、ANAブランド便の運航は6-7機相当。機材が増えるに従ってAirJapanブランド便が増えていくが、半分を超えるのはまだ先だと思う」と述べた。

 2号機はANAの787初号機で、世界で初めて商業運航を行った787。就航当初の特別塗装は、白いボディーに濃紺のアクセントが入ることから、航空ファンからは“鯖”(サバ)塗装とも呼ばれていたが、再塗装が行われた7年前の2017年2月に通常デザインになった(関連記事)。

特別塗装から通常デザインに塗り直されたANAの787初号機JA801A=17年2月28日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

フルサービス並みのサービス

 AirJapan仕様の座席数は1クラス324席でエコノミークラスのみ。シートピッチは海外のFSCのエコノミークラスと同等となる32インチ(約81センチ)で、東南アジアのLCCで主流の28-29インチより広くした。ANAの国際線用787は34インチ、国内線用は31インチで、グループ内では中間のピッチとなる。

AirJapan便に投入するエアージャパンの787-8の客室=24年2月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 改修前の初号機は、2クラス240席(ビジネス42席、エコノミー198席)仕様だった。L2-R2ドア付近にあったバーコーナー、L3-R3ドア付近の中央ギャレーを撤去し、座席を設置するスペースに充てた。

 1路線目の成田-バンコク線を週6往復で9日に開設。2路線目のソウル(仁川)線を週5往復で22日に、3路線目の成田-シンガポール線を週5往復で4月26日に就航させる。4月29日からソウル線、30日からバンコク線をそれぞれ週7往復(1日1往復)のデイリー運航に増便する。

 「シートピッチが広く、FSCのエコノミーと比べて遜色ない。ANAブランド便の運航で、FSCのサービスを知っている客室乗務員が乗務する」(峯口社長)と、これまでANA便に乗務してきた同社の客室乗務員がAirJapan便と双方に乗務することから、シートピッチの広さだけでなく、FSCのサービスが身についた客室乗務員による接客を提供できるという。

 東南アジアは各国のFSCやLCCが多く飛んでおり、価格競争が激しい。峯口社長は「短い距離だとお客さまは安いところを使おうとすると思うが、中距離は片道5-7時間かかるので少々高くても広い席を選ぶだろう」と、低価格運賃ではなく快適性で勝負していく。

関連リンク
AirJapan

初便就航
ANA新ブランドAirJapan、初便就航 訪日客狙い成田-バンコク(24年2月9日)
ANA新ブランドAirJapan、787お披露目 シートピッチ広めで訪日客狙う(24年2月6日)
新ブランドAirJapanの初号機、早朝の成田着 ANAのJA803A改修、2/9就航(24年1月26日)

機内食やサービス
AirJapan、ANAマイルや特典航空券は対象外 ラウンジや手荷物扱いも(23年8月9日)
ANA系AirJapan、CA考案の機内食は「日本」テーマ お弁当文化を訪日客に発信(23年8月2日)

AirJapanの路線展開
ANA系AirJapan、成田-シンガポール4/26就航 訪日客狙い3路線目(24年1月26日)
AirJapan、2路線目は成田-ソウル 24年2月就航、ANA新ブランドで週5往復(23年11月15日)
AirJapan、成田-バンコク4/30増便 1日1往復に(23年12月13日)
ANA新ブランドAirJapan、成田-バンコク24年2月就航 最安片道1.5万円(23年8月2日)

シートや制服発表
AirJapanのCA制服、”結び”と”重ね”で日本らしさ表現(23年3月10日)
ANA新ブランドAirJapan、くつろぎの足もと広めエコノミー 24年2月東南アジア就航(23年3月9日)

AirJapan
ANA新ブランド「快適性」と「訪日客」が焦点 特集・LCCじゃないAirJapan”いいとこ取り”(22年3月9日)
ANA第3ブランド「AirJapan」787でフルサービスとLCC“良いところ取り”23年度下期就航へ(22年3月8日)
ANA第3ブランド、コロナで就航後ろ倒し 芝田HD新社長「リゾートに限定する必要ない」(22年2月10日)
ANA、787で中距離国際線LCC新設 アジア豪州方面、エアージャパン母体で22年度就航へ(20年10月27日)