エアライン, 空港, 解説・コラム — 2024年1月16日 17:30 JST

スターフライヤーのペット同伴サービス、羽田-福岡好調「初日は普段通り」

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 北九州空港に本社を置くスターフライヤー(SFJ/7G、9206)のペット同伴サービス「FLY WITH PET!」が、1月15日から同社の国内線全路線全便に拡大した。日本初となる飼い主とペットが国内線の客室で一緒に過ごせるサービスで、2022年3月にスタート。これまでは羽田-北九州線限定だったが、羽田-福岡、関西、山口宇部、中部-福岡の4路線を加えて計5路線、1日最大64便となった。

ペット同伴サービス「FLY WITH PET!」が国内全路線全便に拡大したスターフライヤー=21年10月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
小型イヌネコ限定・1便2匹まで
緊急脱出は不可

小型イヌネコ限定・1便2匹まで

 航空会社の定期便では、ペットは温度管理された客室下の貨物室に預けることになる。一方で、ペットと客室で一緒に過ごしたいという飼い主の要望は以前から多く、海外では認めている航空会社もあることから、スターフライヤーは2021年10月1日から実証実験を実施。2022年3月27日から羽田-北九州線の一部便を皮切りにサービスを始めた。

FLY WITH PET!は小型のイヌとネコが対象=21年10月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ペットと言っても、何でも持ち込めるわけではなく、指定サイズに収まる小型のイヌとネコのみで、1便あたり2匹まで受け付ける。ペットが健康であることや、充分に飼いならされていること、鳴き声などでほかの乗客に迷惑をかけないよう、トレーニングされていること、匂い対策などが講じられていること、各種ワクチン接種を終えていることなどの条件がある。

 ペットを入れるケージの大きさは50センチ×40センチ×40センチで、スターフライヤーが用意するほか、規定サイズ内であれば利用客のものをそのまま持ち込める。ペットの座席は最後尾の27列目の窓側(A席かF席)で、ケージをシートベルトで座席に固定し、飼い主は隣のB席かE席に座る。飛行中はケージからペットを出すことはできない。

 スターフライヤーによると、2022年3月のサービス開始からこれまでに約350件の利用があり、年間では200件程度。これまで北九州線限定でサービスを提供していた際に、乗客からクレームが出たことはないという。

 今月2日に、羽田空港で海上保安庁機と日本航空(JAL/JL、9201)機が衝突した際、JAL機に乗っていたペット2匹の救出がかなわず、客室にペットを同乗させろという議論がSNSで過熱。スターフライヤーも予期しなかった形でサービスの認知が広がった。同社によると、全路線に対象路線を拡大した初日の15日は、普段と変わらない利用状況だったという。

 路線別では、羽田-福岡線の予約が好調。サービス開始時から提供している北九州線は同じ福岡県内ということもあり、福岡線に切り替える飼い主も出ているようだ。スターフライヤーによると、全路線に対象を拡大後は北九州線の需要がやや低下し、福岡線の予約率が高くなると予測していたといい、想定通りに推移している。

緊急脱出は不可

 スターフライヤーのペット同伴サービスでも、緊急脱出時にペットを連れて逃げることはできない。これは監督する国土交通省航空局(JCAB)がサービス提供の条件として、1)ペットがケージの中にいること、2)大型の手荷物と同等の条件であること、を挙げており、ほかの手荷物と同様、乗客乗員の緊急脱出を妨げないためだ。

JALの非常救難訓練センターに設けられた737モックアップの翼上から脱出するJALの教官。緊急時は何も持たずに脱出しなければならない=14年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 SNS上の議論では、1)ペットを貨物室に預けることの是非、2)客室にいるペットの緊急脱出時の扱い、の2点を分けず、論理的な思考と冷静さが欠落した感情論が先行する曲面も見られた。客室で一緒に過ごせても、万一の際に一緒に脱出することはできない。緊急脱出時は、ペットに限らず物を持つことはできないことに加え、脱出に使うシューターが破損すれば、後続の乗客乗員が死亡する事態になりかねない。

 2日のような事故が起きなくても、緊急脱出は国内でも時折発生している。空の上という地上と比べてさまざまな制約がある中で、不特定多数の乗客が利用する公共交通機関である航空会社の定期便には、ペット対応の限界がある。金額を問わないのであれば、ビジネスジェットでの移動が現実的な解決策だが、羽田-新千歳間を1泊2日の旅程で往復すると300-400万円はかかる。

 ペット同伴サービスであるFLY WITH PET!以外の手段としては、旅行中はペットホテルなどに預けるか、自家用車やフェリーで移動するといった方法が、現時点ではより現実的な着地点といえそうだ。

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