エアライン, 解説・コラム — 2022年4月6日 23:59 JST

飼い主と離れるストレスも 特集・ペットとの旅の注意点

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で旅客需要が大きく減少する中、航空会社は新たな需要開拓に躍起だ。スターフライヤー(SFJ/7G、9206)では、夏ダイヤ開始日の3月27日からペット同伴搭乗サービス「FLY WITH PET」を始めた。海外の航空会社では、客室で飼い主とケージに入ったペットが過ごせる同乗サービスがあるが、国内で同様のサービスを現在提供しているのはスターフライヤーのみで、ほかの航空会社ではペットを温度管理された貨物室に預ける必要がある。

 温度管理された貨物室であっても客室でも、ペットにとっては不慣れな環境だ。まん延防止等重点措置も解除され、徐々に国内旅行に出掛ける人が増える中、ペットと一緒に過ごせる同乗サービスや、飛行機で移動する上での注意点などを探った。

スターフライヤーが始めたペット同乗サービス「FLY WITH PET」。写真は検証フライトの様子=21年10月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
週末や連休に予約
飼い主と離れるストレス
機材変更で長時間化するケースも

週末や連休に予約

 スターフライヤーは、2021年10月と12月にペット同乗サービスの検証フライトを実施し、サービス開始に至った。羽田-北九州線のうち、羽田発と北九州発の2便ずつ計4便で利用でき、指定サイズに収まる小型のイヌとネコを1便につき1匹搭乗させることができる。カバーをかけた最後列の窓側席にペットが入ったケージをシートベルトで固定し、隣に飼い主が座る。機内や空港内ではペットをケージから出すことはできない。

検証用のビニールカバーが掛けられたシート=21年10月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 運賃は飼い主の搭乗券に加え、1匹5万円の料金がかかる。これまでに全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)が飼い主とペットが一緒に搭乗するチャーターフライトを実施しているが、定期便の客室にペットが同乗できるサービスはスターフライヤーのみ。

 スターフライヤーによると、初日は対象便4便のうち3便にペットが同乗し、問題なく目的地へ着いたという。10月27日までの夏ダイヤ期間中の予約は、3月末時点で週末や連休を中心に約30件入っており、ペットと一緒に客室で過ごしたいというニーズは確実にあるようだ。

飼い主と離れるストレス

 しかし、スターフライヤーのサービスは始まったばかりで、路線や便が限定される。ペットを飛行機の貨物室に預けて移動する際の注意点は、どのようなことがあるのだろうか。

ペットは通常貨物室に搭載される。飼い主と離れるストレスも考慮する必要がある(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 スターフライヤーがペット同伴搭乗サービスを実現させるにあたり、検証フライトで動物アレルギーなどに関する情報を提供した外平動物総合研究所の獣医学博士・獣医師、外平友佳理氏は「貨物室に預けるとペットの様子を見られないので、体調が急変した場合に把握できない。特にイヌは飼い主がそばにいるだけで精神的な安心感を得られるので、ストレスの差異が非常に大きいと思う」と指摘する。

 「ペットが元気だと思っていても、心臓病などの病気を抱えている場合もある。温度や湿度、飼い主がいないことのストレスは、人間が考えている以上に大きいだろう」(外平氏)と述べ、ペット個体の性格や過去にかかったことがある病気、健康状態などから総合的に判断する必要があるという。

 国内線の場合、JALは「ペットとおでかけサービス」、ANAは「ペット連れのお客様向けサービス」という名称で、各社が定める条件に合うペットであれば貨物室で預かるサービスを提供している。また、高温多湿となる夏場や、外気温が0度以下になる冬場の利用は、十分注意して欲しいと呼びかけている。

 貨物室は客室と同等の温度管理がされているとはいえ、ペットによっては音や振動などの影響で、予期せぬ死傷事故が起きかねない。両社とも飼い主には確認書(JAL)や同意書(ANA)を提出してもらってペットを預かっているが、2017年から2021年までの5年間で見るとJALは計9件(1年あたり1-3件)、ANAは計8件(同0-5件)の死亡事例がある。外平氏が指摘するように、飼い主から離れたペットには人間の想像以上にストレスがかかってしまうケースもあるようだ。

機材変更で長時間化するケースも

 2021年8月11日。JALの羽田発大分行きJL661便(ボーイング737-800型機、登録記号JA315J→JA320J)に東京都の本村充正さん夫妻は、愛犬のポポちゃん(ポメラニアン、当時3歳)を貨物室に預けて搭乗した。定刻の午前8時5分に出発後、機体に不具合が発生したため、機材を変更して運航することになった。

本村家のポポちゃん(本村さん提供)

 この影響でJL661便は1時間35分遅れ、本来であれば大分に到着している午前9時40分に羽田を出発し、午前11時12分に着いた。しかし、大分に着いたポポちゃんは息をしておらず、動物病院で正午すぎに死亡が確認された。本来であれば1時間半ちょっとのフライトだが、この日は倍以上の時間がかかった。

 JL661便には3匹のペットが乗る予定だったが、機材変更で1匹は搭乗を取りやめた。本村さんによると、搭乗手続きの段階からJALの対応には疑問を抱く点があったといい、機材変更により乗り換えのために乗客が立ち寄った羽田のバスラウンジ(待合室)では、係員の応対について本村さんとJALの主張には食い違いが生じている。

 本村さんは過去に別の航空会社でペットの扱い方に不安を感じたことがあったそうだ。「JALなら大丈夫だと思っていたのに。私たちにとってはペットというより、家族3人というイメージだった。二度と飛行機にペットは乗せたくない」と信用して愛犬を託しただけに落胆していた。「ホームページでは安全を約束する、というようなことを書いている。お金を取る以上はエキスパートを用意して欲しい」と、航空会社がペットを預かる以上は、ポポちゃんのような事故が起きて欲しくないと話していた。

  ◇ ◇ ◇

 ペットの飼い主からみると、貨物室に預けるよりも客室で一緒に過ごしたい人が多いだろう。一方で、動物が苦手な人は客室に連れ込んで欲しくないと考えるので、スターフライヤーも同乗サービスの対象路線や便を限定している。このため、同社ではペットが乗った座席周辺は通常よりも念入りに清掃しているという。

 飛行機に限らず、移動がきっかけで家族であるペットが亡くなる事例が少しでも減って欲しいものだ。

関連リンク
FLY WITH PET!(スターフライヤー)
ペットとおでかけサービス(JAL)
ペット連れのお客様向けサービス(ANA)

スターフライヤーのFLY WITH PET!
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